9月30日の朝刊に、2016年度全国学力テストの結果が掲載された。東北各県の平均正答率を紹介した1面の記事の見出しは「宮城 小学校全科目 平均を下回る」となっており、問題意識をかき立てられる。記事を読むと、秋田が小中学校の全科目中3科目で全国1位とある。東北地方では、秋田が相変わらず好成績だが、他県はいずれも芳しくない。
 関連してワイド東北面(28面)に東北6県の分析と生活習慣アンケートが載り、宮城県の生活習慣アンケートの詳細は宮城版(17面)に掲載されている。ワイド東北面で東北を一覧、宮城版では宮城県のことを詳細に、という紙面構成なのだろうが、両方読み比べる場合はやや不親切に感じる。記事全体を見ると、「平均を越えた、越えない」という表現が多く、まるで平均を目指しているみたいである。やはり、上位県の傾向との違いを知りたくなる。
 私は大学教員であり、各地で小学生を対象に出前授業を行っている。地域により、子どもには特徴がある。仙台市の生活習慣アンケート結果を紹介した宮城版の記事の最後に「東日本大震災以降、自己肯定感を持つ児童生徒が減少していることが課題」とあったが、同様な感覚を私も感じている。
 子どもの教育は、学校だけでなされるものではない。「どんな生活環境で育っているか」が、子どもの学力や振る舞いに大きく影響していると考えられる。紙面には教育委員会のコメントが掲載されていたが、専門家の家庭視点からのコメントもあると、子どもの学力や生活環境の改善すべき点が明確になると考える。
 自己肯定感を育むには、大人が子どもに自信と希望を持たせ、やればできるということを伝え、成功体験を持たせることが重要だと思う。本紙にはぜひ、地域の子どものために、「読者に何ができるのか」を考えさせる視点の記事も書いてほしい。

 台風10号被害に遭った岩手県岩泉町では、地元出身の若者が古里再生に奮闘している。10月1日朝刊社会面の「台風 結束の糧に」では、東京から今春実家に戻った千葉泰彦さん(43)の活動が紹介された。ふさぎ込みがちな人も千葉さんの活動に元気をもらい、外に出るようになっているという。
 3日朝刊宮城版で、いわて国体のセーリングで及川慧悟君(遠刈田中3年)が頑張っているという、うれしい記事を見つけた。震災前、閖上ヨットハーバー(名取市)でヨットの面白さに目覚め、震災後も全国から支援を受けてヨットを続けてきた。操船する及川君の姿はたくましく、この数年で大きく成長したよう見える。
 本紙には、ニュースをさまざまな視点から分析・考察し、理解を助ける写真とともに記事として提供し、子どもたちと地域の元気づくりに貢献していただきたい。

<ただ・ちか氏>1973年、石川県生まれ。東北大大学院農学研究科博士課程前期修了、筑波大大学院農学研究科博士課程後期修了。農学博士。沖縄工業高専助教などを経て、2009年から現職。専門は環境微生物学・バイオマスエネルギー。