2016年が終わる。今年も本紙はさまざまな出来事を扱ってきた。年の終わりに、変化の激しい世界情勢や国内の諸問題にどう対応するかという「対処論」からいったん離れ、地域の文化的な事柄に触れてみたい。

 17日朝刊宮城版の「旧書院『勝画楼』解体へ」が目に留まった。塩釜神社(塩釜市)境内に18世紀半ば頃建築された歴史的建造物「勝画楼」の解体を、塩釜神社が決めたという記事である。これに対して、保存活用を求める動きも後日紹介されている。
 18日の「声の交差点」には、宮城県七ケ浜町の90歳男性による持論時論「消える景勝地『波多崎』歴史的な価値見直して」が載った。東日本大震災の津波にも耐えた同町の歴史的景勝地を再生しようと、思いを込めて訴えている。
 20日の朝刊くらし面では、月1回連載の「ゆるり民芸 東北に暮らして」が、旧仙台領を中心とする地域に祭られてきた「かま神様」の魅力を伝えている。
 大震災を経て、先人がわれわれに残してくれたこのような自然や文物は地域の宝物なのだと、改めて認識されていると思う。それを磨いて唯一無二の地域の魅力とするために、各自治体の行政と民間が連携し知恵を出し合うことが重要である。
 例えば、前述の塩釜と七ケ浜であれば「千賀の浦」といった歴史的文化的なくくりが考えられる。北東北なら青森、岩手にまたがる南部衆という概念がある。各土地固有の価値観、伝統、文化的な匂いを、広域で捉え、魅力的に形づくる。そんな取り組みを喚起するような本紙の連載を切望する。
 朝刊文化面の連載「怪気炎 東北怪談なる文芸」は22日の(4)「遠野物語100年」で、「遠野物語」を生かしたさまざまな仕掛けで、地域独自の歴史を次世代へと引き継いでいこうとする人たちの姿を描いている。石や木といった「資料」で伝達することも大切だが、やはり人によって伝えていくことが地域の生きた財産になると再認識させてくれる記事だ。
 そのような観点から、17日の朝刊宮城版に載った「美里の未来 僕らが担う」も興味深かった。宮城県美里町・小牛田中の生徒たちが、町の活性化策や将来への決意を発表したという。地域のさまざまな財産を伝えていくためには、それを担う人を育てることが必要である。見出しの「僕らが担う」には、そうした人材に育ってほしいという本紙の期待が込められているように感じた。

 22日の「声の交差点」に掲載された投稿「胸打たれた中学生の主張」も印象的だった。「光の当たらない人にこそ目を向けよう」「大和言葉には日本人の心が宿っている」といった中学生の意見に、62歳の男性が共感している。中学生の姿勢に未来への希望を感じたのだろう。
 紙面には、さまざまな形で読者が登場する。地域の未来を創る人たちの声をもっと多く読者に届けることも、地域に根差す本紙の大切な役割ではないだろうか。