昨年12月26日朝刊のワイド東北面で、豪雪地の尾花沢市が、雪と恋を表現した「雪のラブレター」を募集中という記事を見つけた。松尾芭蕉が「おくのほそ道」の途中で同市に最長の10泊滞在したことにちなんで始めたそうで、今年で16回目という。
 寒い日の雪にはうんざりしてしまいがちだけれど、しんしんと天からラブレターが降りてくると思うと、ポッと心が温まる。16年も続いているのは、きっと、雪に思いをはせる人が多いからなのだろう。作品の応募締め切りは今年2月26日とのこと。どんな作品が今回は寄せられるのだろう。楽しみである。

 12月31日のデスク日誌は「届け」というタイトルで、ショパンのピアノ曲「バラード第1番」に魅せられた整理部次長の村上朋弘さんが、この曲に引かれていった経緯を書いている。きっかけは「四月は君の嘘(うそ)」という映画で、その後、アニメ版を見て、原作コミックを読み、コンサートも聴きに行ったとのこと。映画という一つのきっかけから、興味がどんどん連鎖して広がっていく様子が書かれている。
 村上さんは、自身の体験と同じように、河北新報の記事が、読者が社会に関心を持つきっかけになるよう願って、日々仕事をされているとのこと。そんな思いで新聞を作ってくれているんだと思った。新聞は、読者に向けた毎日のラブレターなのかもしれない。
 年が明けて1月3日朝刊の特集面には、解剖学者養老孟司さんが、ブータンへの旅から現代日本を論じる「本当の幸せを考える」が載った。同じ日の別の特集「2017年 日本経済展望」ではエコノミスト2氏の意見が紹介されている。それぞれの見方が面白い。いずれの記事も、今が「転換期」であると示唆している。新しい価値観や視点を導入していく重要性を感じる。
 それと呼応するように、この日の社説「『田園回帰』の流れ もう一つの道を探ろう」は、東北地方のこれからを考え、「農」の在り方を説く。個人が営む小規模農業の実績や可能性を示し、多様な視点や価値観、暮らしの魅力と重要性を主張している。
 人間に欠かせない食を担う「農」は、単に食料を生産する場ではない。動植物と関わり、それらを育てることを通して得られる喜びや発見があり、自然への畏敬や感謝の気持ちを育む。東北の暮らしに古くから根を下ろしているものであり、新しい価値観の世界を開く場になり得ると考える。

 人工知能(AI)の急速な発達により、人間が従来行ってきたさまざまな仕事がAIに置き換わっていくとも言われる昨今。改めて今、人間とは何なのか、生きるとはどういうことなのかを見つめ直す必要があると思う。本紙はその案内役の一つであってほしい。
 ボブ・ディランをまねて、The answer is falling in the snow. 2017年が心安らぐ一年でありますように。