20日、米国の大統領にドナルド・トランプ氏が就任した。21日の朝刊各面に関連記事が載っている。4面の記事「世界巻き込み『実験』」では、米社会の分断修復について諦めムードが漂っていると書かれている。2面の記事では、オバマ前大統領が最後の記者会見で語った「権力を持った人物に厳しい目を」という言葉を引用。米紙記者の権力の監視役としての覚悟を紹介している。その覚悟の必要性は、米国に限ったことではないだろう。
 同じ21日朝刊の6面(特集面)には、国会での安倍晋三首相の施政方針演説と外交、財政、経済の各担当大臣の演説の要旨が掲載されている。わが国の同盟国である米国が打ち出した政策を踏まえて、国内政策、外交政策をどのように進めていくのか。特に東北と大きな関わりがある農業・経済政策について、読者が共に考えられる紙面構成を期待する。
 その2日前、19日の朝刊2面には「就任前好感度 歴代最低40%」の見出しがあった。米国民の後悔が表れているようにも見えるが、米国民がトランプ氏を選んだことは変えられない。本紙にはぜひ、米国が今後「利己」と「利他」のバランスをどのような手法で取っていくのか、米メディアが発信する情報の背後に何があるのかを、独自の視点で目を凝らして追ってもらいたい。

 17日、阪神大震災発生から22年を迎えた。3月11日で東日本大震災から丸6年を迎えるわれわれには、阪神大震災から学ぶべきことが多くある。18日朝刊社会面の「悲しみ忘れず」という記事に目が留まった。行政が主催する追悼行事に、東北からも多くの参加者があった。本当につらい思いをした者同士が、それぞれ記憶を引き継ぐことを通して心の交流を深めていることが伝わってくる。
 同じ面の「負けずに生きた仲間」は、阪神大震災の日に電気の止まった病院で生を受けた22歳の大学生と、その日母親と弟を失った30歳の小学校教諭が、追悼集会で児童たちを前に講演したという記事だ。青年は震災の日に生まれたためメディアの取材を受け続けたことに苦しんだ。それを乗り越える努力をしてきた時に、教諭との出会いがあった。
 18日の宮城版には、熊本地震で被災した熊本県南阿蘇村の観光関係者が宮城県南三陸町を訪れ、震災語り部の取り組みを学んだという記事があった。
 阪神と東日本と熊本。被災地同士のつながり・交流を大事にしていきたいという本紙の姿勢が感じられた。

 17日朝刊1面と特集面に、本紙創刊120周年に当たって、次世代に引き継ぎたい東北像「東北の道しるべ」が掲載された。特集面の仮想小説『2050年 東北の物語』が面白い。地域の精神文化が宿った伝統を磨き極めれば、他が追い付くことのできないエッジの効いた戦略となり得る。その先に本紙の唱える「東北スタンダード」(東北の道しるべの一つ)が待っているのだと思う。