3月11日で東日本大震災から丸6年を迎える。私も塩釜市の店舗を津波で流されたが、たくさんの方々の支えによって再建した。ふるさと塩釜の復興にも、微力ながら取り組んできた。
 2月9日朝刊宮城版に、私たち「塩釜海岸通再開発組合」に関する記事が載った。大きな扱いではないが、この記事に象徴されるように、復興へ市民と一緒にこつこつと歩み続ける姿勢が、これからも本紙には欠かせない。

 地域の再生は「仕事」があることが大前提だ。仕事がある所には人が集まり家庭ができ、コミュニティーがつくられる。
 もう一つ、地域再生の方策として、本紙も頻繁に取り上げている訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致がある。20日朝刊のこの面に載った「持論時論」投稿者が指摘しているように、2016年のインウバウンドが2400万人に達したのに対し、東北が占める割合は0.9%にすぎない。
 しかし、これは大きな可能性を有しているということでもある。また、東北のインバウンド誘致の本当の目的は、観光、買い物にとどまらず、土地の人々に触れてもらい、東北という風土・文化を知っていただくこと。そして、東北に住む私たちが、訪れてもらうに足る存在になるよう、「個」の質を磨きつつ連携していくことだと思う。
 その意味で、9日から17日までワイド東北面に6回連載された「イケメン若旦那 温泉地を行く」を興味深く読んだ。東北各県の温泉地がそれぞれに工夫を凝らして誘客に取り組んでいることが分かる。その先に東北間連携ができれば、もっと大きな魅力になる。本紙の出番でもあろう。
 インバウンド誘致に欠かせないのが、空港からの二次交通整備である。15日朝刊経済面の「仙台空港↓日本海へ一直線 庄内交通、4月から高速バス」と20日朝刊解説面「ニュース深掘り 仙台空港民営化から半年」で、東北の二次交通整備は進みつつあるものの、なお課題が多いことが示される。東北全体を見渡した課題の掘り起こしと解決策の模索を、本紙も関係者と共に続けてほしい。
 22日朝刊ワイド東北面に載った「教育旅行 仙台圏に照準 山形県が誘致に力」など、地域の魅力PRを取り上げた複数の記事にも、ヒントがある。東北6県のそれぞれ異なる文化・歴史や自然を顕在化し、お金を払ってでもぜひ体験してみたいと思わせる素材にできれば、自治体レベルの誘客にとどまらず、世界中の人を引き付けることができるかもしれない。

 本紙創刊120年の1月17日朝刊で発表された「東北の道しるべ」の一つは「『東北スタンダード』を掲げよう」だった。この東北スタンダードは、拡大ではなく「拡質」を目指す。
 本紙には、震災後の新たな時代に向けて、全国の秀逸な事例を取り上げ、それらをヒントに東北スタンダード実現の具体的手法を読者が共に考えられるような紙面構成を期待したい。