今月は東日本大震災関連の記事が多く掲載された。そのうち、子ども向けの21日朝刊20面(かほピョンNIEのページ)の「東日本大震災6年」が、被災地の現状を分かりやすくまとめている。

 いまだ12万3000人の避難者がいること、昨年12月のJR常磐線再開、八戸市から仙台市までの「復興道路」と、岩手、福島両県で海辺と内陸を結ぶ「復興支援道路」は全長580キロのうち240キロが開通したこと。さらに、福島県では福島第1原発事故のため将来の見通しが立たず、住み慣れた土地に戻らないと決めている人が少なくないことを伝える。
 震災後6年の全体像が見えにくくなっている中で、大人が読んでも役に立つコンパクトな情報だ。
 被災した東北4県が創設した取り崩し型復興基金の執行状況について、15日朝刊1面と16日朝刊1.3.11面で詳しく報じている。被災した中小企業への迅速で柔軟な対応がいかに重要かが分かる。
 16日11面には、本紙と共に執行状況調査を行った東北工大准教授の話「創造的復興へ新たな発想を」が載っている。復興に携わる一人として「街の復興は人に主体性がなければ前に進まない」というメッセージだと理解した。貴重なアドバイスであるとともに、励ましにもなった。
 仕事のあるところに生活が存在する。15日朝刊社会・総合面は、昨年4月の熊本地震の影響とみられる企業倒産件数が、大震災を契機に創設された「グループ化補助金」が機能して低水準だったことを伝える。東北の取り組みが貢献できたようで、うれしくなる記事だ。
 懸命に日々を生きる人々にフォーカスした記事も目立った。
25日の社会・総合面「北の大地の交流忘れぬ」では、大震災で北海道に避難した人たちの自助団体「みちのく会」が6年間助け合った過程が紹介されている。人が主体性を持つためには人の支えが必要だということが、伝わってくる。
 特に心に留まったのは、19日朝刊社会面の「震災の教訓 1000年伝える」と「6歳の歩み 力強く前へ」である。
 「1000年後の命を守る」を合言葉に、宮城県女川町の女川中卒業生らが、被災体験や教訓をつづった「女川いのちの教科書」を作った。大震災翌日、停電の中で一時仮死状態になりながら生まれた男の子が保育園を卒業した。歩行器を使って卒園証書を受け取りに行く写真に心打たれる。
 多くの人たちの献身と支援によって、困難を乗り切ってきた被災地の少年少女たちが、感謝の念を胸に、前を向いて進む。それを温かく見守る視点が、今後とも本紙には欠かせない。

 震災後、この国の知恵が試されている。知恵は、課題を解決するための知識を持つ者が、さらに経験を重ねてやっと身に付けることができる。国際情勢を冷静に見ながら東北人としての魅力を失わず、この国のために東北スタンダードを提示することを目指し、本紙の知恵をもって有益な情報を提供し続けていただきたい。