今春、双子の息子が小学校に入学した。彼らが新聞に興味を持ったきっかけは、本紙の報道写真。東北の冬を荒々しく駆け巡る、色鮮やかなナマハゲ、アマハゲ、スネカたち。一枚の写真が伝える迫力に恐れおののき、しばらくは「ナマハゲ出た? 新聞に載ってる?」が朝の合言葉となった。自宅にいながらにして、新しい出会いが運ばれてくる。それが新聞の最大の魅力である。
 木曜夕刊の「週刊せんだい」、4月のテーマは「杜の都の世界人」だった。現在仙台市に住む外国人は過去最多の約1万2000人。およそ100人に1人に上るという。留学生にハラル食品店店長、訪問介護職員と多彩な人選の記事は読み応えがあった。できれば、在留資格別で3番目に多い技能実習生、特に水産業に携わる外国人の声も聞いてみたい。
 火曜日の朝刊が待ち遠しい。第2朝刊「かほピョンこども新聞」に隔週連載されていた漫画『独眼竜政宗』(千葉真弓作)が、こちらで毎週掲載となったからだ。南部出身の私には、ストーリーも登場人物も全てが新鮮。城名を覚えるとともに、地理感覚も養われた。息をのむ物語の数々からこぼれる豊かな人間性。伊達政宗や片倉小十郎が今なお郷土の人々に愛されてやまない理由もうなずけた。

 14日、熊本地震発生から1年となった。同日朝刊4.5面見開きで組まれた特集は圧巻だった。被害状況を地域の地図と合わせて分かりやすく図解。「あの時何が起こったのか」を、改めて浮かび上がらせた。校庭に椅子を並べて作られた「SOS」の文字。東日本大震災当時の記憶がよみがえった読者も多かったことだろう。1年が経過した今、どのような課題が顕在化したのか。この教訓をいかに次代へ残すのか。識者の論考を交え「共に考え、伝える」という本紙の強い姿勢が感じられた。
 14日夕刊1面には、熊本県の追悼式の模様。翌15日朝刊1面には、益城町の仮設住宅団地で、地震発生時刻に手を合わせ黙とうする被災者の写真。同日夕刊3面には、益城町で行われた追悼式の写真が載った。遺影を手に献花する女性の表情が胸に迫る。「まだ生きとる気する」「踏み出せない」。癒えぬ悲しみ、大切な誰かを思う心、その重なり合いを、連続した報道は確かに伝えた。
 11日朝刊社会面(30.31面)に掲載されたのは、喜びいっぱいの新小学1年生3人。東日本大震災発生の直前、直後に生まれた子たちだ。両親は何を経験し、どんな願いを込めてそれぞれの名前を贈ったか。そんな切り口の記事の温かみに、うららかな春の光を届けられた思いだ。一人に一つ、かけがえのない一瞬を丁寧にすくい取る。その細やかな感性こそ本紙の魅力だと感じている。

<あまの・わこう氏>1978年、十和田市生まれ。東北大文学部(宗教学)卒業。2002年、浄土真宗僧侶だった夫と仙台市泉区に「みんなの寺」を開山。漫画をはじめさまざまな形で仏教について発信している。著書に『ミャンマーで尼になりました』『みんなの寺のつくり方』など。臨床宗教師。