6月29日から7月2日まで開かれた東北地区大学野球選手権が、紙幅を割いて報道された。近年は東北の大学から多くのプロ野球選手が生まれ、今年の全日本大学野球選手権でも富士大と石巻専修大が初戦突破するなど、東北全体のレベルは向上している。今回の東北大学野球も、本紙が「実力接近 波乱の可能性」(6月27日朝刊スポーツ面)と予測したように、熱戦が繰り広げられ、本紙報道がさらにそれを興味深くした。決勝では、東北福祉大が0-7のコールド負け寸前から優勝を奪取し、最後まで諦めない姿勢の大切さを改めて印象付けた。ブロック紙である本紙には、引き続き東北全体のスポーツを盛り上げてほしい。

 6月28日朝刊1面の「日本の課題 解く鍵に」をもって、復興CSR(企業の社会的責任)を取り上げた半年に及ぶ「トモノミクス 被災地と企業」が連載を終えた。エピローグは「社会的責任に目覚めた企業市民。それは現代の経済社会に変化を生む希望であり、近未来の日本が直面する課題を解く鍵になる。競争より共感を。私益より公益を。トモノミクスが、東北から羽ばたく」と結んでいる。
 私は、奉職する大学の校歌がうたう「人の世の幸 福祉の心」を持った人材を輩出することが使命と信じて、学生教育に当たっている。この連載には、わが意を得たりと感じた。本学の教育理念は「自利利他円満」である。競争社会の中で、現在の若者の多くも「自利」を求めがちである。その一方、本学学生には「利他」を求めすぎて、自利をおろそかにする者も多い。しかし、本当に円満となって自他共に幸せになるには、自利と利他の合一が必須である。
 「大学で学んだ福祉を実践する場は、社会福祉の現場だけではない。生きづらさを抱える全ての方々の困難を軽減させる財やサービスの開発、製造、流通も、福祉の心を実践する大切な場である」と学生に説き続けてきた。
 本学設置主体である曹洞宗の修証義(しゅしょうぎ)も「舟を置き橋を渡すも布施の檀度(だんど)なり、治生(ちしょう)産業固(もと)より布施に非(あら)ざること無し」と説き、日々の仕事も世のため人のためになるとする。「トモノミクス」は、震災復興とこの理念を丹念な事例紹介を通じ、説得力を持ってわれわれに訴求する素晴らしい特集だった。学生教育にも有意義な素材を提供してくれたことに感謝し、今後もこうした特集を望みたい。

 7月23日投開票の仙台市長選に向け、8日朝刊1面の「仙台市長選あす告示」など多くの報道があった。ネットやSNSの影響が高まっているとはいえ、民主主義を正しく機能させる上で新聞が選挙で果たす役割は大きい。有権者が投票行動を起こすにも、新聞による情報提供が大きな助けとなる。一方、議題設定機能、バンドワゴン効果、アンダードッグ効果など、新聞には選挙結果を左右する危険性もある。本紙の過去報道を見ると十分に配慮されているが、今後も特定意見にくみすることなく、読者が自ら判断するための材料を報道し続けていただきたい。