筆者は毎年、同僚や学生と高齢者施設にお盆供養へ赴く。み霊をお迎えするお盆になると、東日本大震災物故者に思いが向いて震災を忘れられない。お盆と密接な関係にある七夕に関し、本紙でも仙台七夕を中心に多くの報道が見られた。8月6日朝刊1面「煙る夜空 光降る 仙台七夕花火祭、一時中断も」は、あいにくの空模様の中でも夜空を飾った花火の見事な写真付きで、前夜祭を伝えた。私もかつてこの花火祭の運営委員をさせていただいたが、この記事で当時の目の回る忙しさ、翌日の清掃を終えた後の心地よい疲労感と達成感、震災年の花火への思いなどをよみがえらせてもらった。
 同じ地域に暮らす人々が共につくり上げる祭りには、大きな地域統合効果がある。震災復興や地域復興で祭りに期待される役割は大きく、メディア報道はその励みとなる。東北には全国的に有名な夏祭りが多数あるが、東北全体をカバーし地域情報にも強いという強みを持つ本紙には、仙台七夕のみならず東北各地の大小の祭りを引き続き取り上げ、地域を応援していただきたい。

 夏祭り関連では、7月26日朝刊宮城版「夏祭りで新住民交流」が、仙台市若林区の荒井南地区で「顔が見えるまち」を目指して初めて計画された夏祭りを取り上げ、被災地域の抱える課題を伝える。
 筆者は荒井東地区街づくりに関与しているが、震災に伴う新たな地域づくりにはかつてのニュータウンで見られた新旧住民問題のリスクもある。荒井の各地区は旧来の田園地域に地下鉄東西線が建設されて住宅開発が進み、同時に災害公営住宅も建設され、被災地の集団移転も進んでいる。その新たな地域づくりは複雑で難しく、祭りの背後に被災地の困難が見え隠れする。この記事は祭りを報道しつつ、そうした被災地の課題を考えさせる良い報道だった。本紙には、復興過程での被災地の細かな問題を今後も丁寧に継続的にトレースしてもらいたい。

 震災復興や地域復興には経済も欠かせない。7月29日朝刊経済面「かまぼこ、フカヒレ、仙台みそ 宮城の特産三味一体」は、伊達政宗公生誕450年を記念した宮城県特産食材を用いた料理開発での、県内3社と大学との協働を取り上げた。地域復興には多様なアクターが必要だが、メディア報道はその意欲を増してくれる。本紙も引き続き地域復興に取り組む人々を応援してほしい。
 8月2日朝刊宮城版「福祉版DMAT整備へ」では、宮城県での災害福祉広域支援ネットワーク設立が紹介された。東日本大震災ではDMAT(Disaster Medical Assistance Team)が活躍する一方、福祉避難所などの問題も浮き彫りになった。東北地方はその教訓を糧に、福祉版DMATの取り組みが全国的にも進んでいる。本紙は、過去にも岩手県岩泉町の水害や熊本地震などでの活躍を紹介してきた。震災を風化させない、こうした有意義な報道を引き続き期待したい。