「読ませる技術」への興味から、紙面を見る目が変わった。
 本欄に月曜日を除いて掲載される「デスク日誌」。今月は整理部デスクの文章がキラリと光っていた。9日の「紙ってる」。情報の把握と選択には、紙での作業が欠かせないという。18日「魂を込める」。限られた字数で内容を正確に伝え、インパクトを与える見出しをひねり出す苦労を知った。記者と読者、両方の視点を持ち、最適な形で情報を送り出そうとするプロ意識に敬意を抱いた。
 スキルと心遣いで作る紙面は、フォント(字体)や色使いも相まって、ニュースの雰囲気を直感的に伝えてくれる。朝刊連載「トモノミクス 被災地と企業」第10部「展開」(17~21日、5回)は、2色のかわいらしいグラフィックと写真の組み合わせが効果的。16日朝刊スポーツ面の見出し「中盤暗転KING則本」は、10センチ角の迫力ある「K」が印象に残った。

 広く生活困窮世帯への支援について関心を呼び起こす報道が続いている。
 15日朝刊3面の「子どもの貧困 日本下位」。先進41カ国の中で、日本の子どもの貧困割合や所得格差は下位にあり、貧困層の子どもが厳しい環境に置かれているという国連児童基金(ユニセフ)の調査結果が報じられた。重要な問題提起である。
 17日夕刊「自主学習 伸び伸び」では、経済的に苦しい家庭環境にある中高生の学習を支援するNPO法人の活動が紹介された。
 今後は、読者に「次のアクション」を促す内容の記事が増えていけば、さらに望ましいと思う。「自分にも何かできることは」と心動かされた人と、現場とをつなぐ可能性を示せないだろうか。
 19日朝刊社会面に載った、「ふうどばんく東北AGAIN」が食料品を募っているという記事は、その好例と感じた。「慢性的在庫不足 困った」「支援先は増加の一途」「食料品提供を」という見出しもストレートで分かりやすい。その後の反響も知りたくなる。

 7月には仙台市長選がある。4年前の前回の投票率は過去最低の30.11%。本紙には選挙戦を取り巻く状況を公正に報道するだけでなく、選挙そのものの啓発という大きな役割も担ってほしい。
 6月6、7日の朝刊1面の連載「揺れる前哨戦」は、新人4氏が立候補決断に至るまでの複雑な背景を明らかにした。語句の用い方一つで、団体や候補者のイメージが左右されかねない。ヒリヒリした緊張感がにじむ内容であった。
 続く9、11、13日の朝刊宮城版には、仙台市を除く宮城県内34市町村長と東北5県の県庁所在地5市長へのアンケート結果が載った。仙台市が継続して取り組むべき課題について、ポイントを整理するための参考になったと思う。
 現時点では政党対決の構図が色濃く、まだ政策の違いなどの争点ははっきり見えてこない。引き続き、有権者の投票の根拠となり、まちづくりの意義を市内外の住民が共有できるような記事を期待している。