郵便受けから夕刊を取り出して、インパクトのある色彩に目を奪われる。写真一枚が発する息遣いにしばし魅入られる。今月の夕刊1面は、写真を大きく効果的に用いたレイアウトが目立った。
 9日夕刊「仙台 定禅寺ジャズフェス開幕/始まりはA 青空貫くリズム」。快晴に恵まれた勾当台公園市民広場で、体をしならせ伸びやかに楽曲を奏でる奏者と、聞き入る聴衆との一体感が伝わってくる一枚だ。
 11日夕刊「祈りの日 手掛かりを/宮城・七ケ浜で一斉捜索」。東日本大震災から6年半の節目に、行方不明者の捜索を行う塩釜署員の姿を写した。オレンジ色のベスト姿で黙々と漂流物をかき分ける署員の後ろには、灰色の砂浜と白い波が溶け込むように遠く広がる。

 16日夕刊「銀輪の列 復興見守る/奥松島コース ライダー快走」では、色とりどりのウエアでにこやかに手を振るライダーの車列が、東松島市・宮戸島の風景に映えていた。16、17日に開催されたツール・ド・東北2017。5回目となる今大会で新設された「奥松島グループライド&ハイキング」コースを走る参加者をとらえたものだ。
 本紙は、今大会に関わる人々を開幕前から少しずつ紹介してきた。13日朝刊社会面「生きるも死ぬも紙一重」。東松島市の自治会長早川宏さんは、被災体験をライダーに伝える語り部として参加する。14日社会面「民泊もてなし 移住者視点で」。横浜市から石巻市へ移住した岩元暁子さんは、「よそ者」ならではの視点を生かし民泊を受け入れる。同日宮城版「のりうどん 思い出の味に」。東松島市の料理長渥美勝之さんは、工夫を凝らした名物をエイドステーションで提供する。15日社会面「復興の街 見守り駆ける」。三重県の石川雅巳さんは5年連続で出場し、変わり続ける街を見守る。さまざまな思いが幾重にも折り重なってこの大会が形づくられているさまがありありと見えた。
 触れる。分かち合う。伝える。
 順位を競わないファンライド方式の本大会には、競走以上の目的があることが、一連の発信で明確に浮かび上がる。
 18日社会面では大会での参加者の模様を伝えた。十分に紙面を割き、個人の内面に踏み込んだ記事になっていたと思う。20日11面の写真特集「つながる輪 復興の力に」はライダーの視点を追うかのような構成で、私たち読者も臨場感を味わうことができた。

 仙台市は音楽の盛んな「楽都仙台」とともに、演劇の街「劇都仙台」の名も掲げている。それを象徴する拠点が仙台市若林区の「せんだい演劇工房10-BOX」だ。15日朝刊娯楽面では「演劇 仙台・卸町盛り上げ」の見出しで、10月5日から同施設で開催される「せんだい卸町アートマルシェ2017」について告知した。
 市民を巻き込んだ東北型「アートの街」は伸びしろがあり、ここからの前進が期待できる。今後も細やかに追っていただきたい。