9月下旬の本紙朝刊は、東北の今や将来を「全国」の視点で紹介、議論する記事が目立ったように思う。一つは「リボーンアート・フェスティバル2017」を取り上げた記事、もう一つは東北人の全国での活躍を扱った記事である。
 リボーンアート・フェスティバルは、東日本大震災で被災した石巻市の牡鹿半島などを舞台に、7月22日~9月10日に開催されたアート、音楽、食をテーマにした総合イベントである。国内外から約40組の現代アーティストが作品を創作・展示した。筆者も会期中に家族で訪れ、幾つかの作品を見て回った。

 本紙は、同イベントを検証する視点の記事「再生の胎動 リボーンアート・フェス’17を終えて」を9月24~27日、朝刊社会面に連載した。
 この連載で着目すべきは、四つの異なる視点で多角的な検証がなされた点である。
 1回目は「成果」というタイトルで、地元住民やアーティスト、参加ボランティアの声から、まさに「成果」の側面を紹介した。
 2回目は、がらりと視点が変わり、「当惑」というタイトルで、地元住民や活動者の声を丹念に拾い、今回のリボーンアート・フェスにおける住民・地元視点の不満や課題を紹介している。
 3回目のタイトルは「先例」である。近年は、全国各地で芸術祭を活用した地域づくり、まちおこしが盛んに行われている。その成功事例として「大地の芸術祭 越後妻有(つまり)アートトリエンナーレ」の開催地である新潟県南部の越後妻有地域を取材した。同芸術祭がにぎわっている現状や、開催当初の苦労が紹介されている。
 最終回の4回目は、実行委員長の小林武史氏に対するインタビューで締められている。多角的、かつ近づきすぎず離れずの絶妙な視点の検証は、本紙にしかできないだろう。

 東北人の全国での活躍を取り上げたものは、9月26~28日の3日間、朝刊スポーツ面に連載された「みんなの国体」である。この連載は、「愛顔(えがお)つなぐえひめ国体」(9月30日~10月10日)に東北から出場する3人の選手について、「普段の顔は」という吹き出しを付けて、普段の職業と働きぶりを描いている。
 国体に出場する選手の多くは、スポーツそのもので生計を立てているわけではなく、日中は何らかの職業に就き「二足のわらじ生活」をされている。国体の報道では、優れた成績が出ると、その成績そのものが紙面に取り上げられることが多い。
 そんな中、本紙は選手たちの並大抵ではない普段の努力を紹介している。選手たちの活躍の裏に、東北が支えられている日常を垣間見ることができた。