急な冷え込みとは裏腹に、連日選挙戦を追う熱いゴシック文字見出しが躍った神無月中盤の紙面を振り返ってみたい。
 選挙ともなれば、腕のもとい筆の見せどころと記者諸氏も血湧き肉躍ることだろうが、衆院選と宮城県知事選、一部首長選が重なった今回の選挙戦は、取材はもとより、読者・有権者に問い掛ける紙面作りにも、かなり知恵を絞られたに違いない。そのような楽屋裏を想像しつつ手にした13日の朝刊1面には驚かされた。圧倒的な大きさで掲載されていたのは、米軍のCH53Eヘリコプターが炎上・大破している写真。添えられているのは最小限のキャプションだけで、残りの紙面は衆院選情勢分析という構成となっていたのだ。
 「なぁるほど。こういう問い掛け方もあるのか」。文字だけではなく画像の力もうまく活用した問題提起の仕方にうなった。
 ともすれば空中戦で情勢が激変する選挙戦に、いかにして市民目線を織り込むかという創意工夫が見られたのが「私の復興 幸せのかたち/衆院選公示」(11~13日朝刊社会面)。東日本大震災以降に実施された国政選挙のその時どき、被災地に暮らす住民はどんな思いで国政選挙に向き合ったのかを時系列で振り返っている。この企画から聞こえてくる人々の肉声は、未曽有の災害からの復興を政治がどう後押ししたか、できていないのかをあぶり出す貴重な情報として、読み手にも届いたのではないだろうか。
 また、「不条理劇」(22日社説)と評されたほど分かりにくい離合集散の国政選挙を図解や争点比較表などで示したのは、10代の有権者のみならず、大人にとっても必要な手法であったと思われる。
 一方、「不条理劇」の陰ですっかりかすんでしまった感のある宮城県知事選挙。それでなくても、基礎自治体とは異なり、住民生活との接点が見えづらい立ち位置にある県政のかじ取りを誰に託すか判断するのは、かなり難しいことである。その意味から、知事とは近い立場にある市町村長への「県内35首長アンケート(上)(下)」(14、15日朝刊宮城版)は興味深かった。欲を言えば、無記名方式なのだから、もう少し深堀りしてもよかったのではないか。
 選挙時だけではなく、県政の局面ごとに今後も続けていただきたい企画である。

 さて、夕刊のシリーズ「仙台圏私のベスト本」(9月26日~10月18日)は、乱読魔の私が心待ちにしていたコーナーである。自分の本棚をのぞかれるのはかなり恥ずかしいが、人さまの本棚をのぞくのはかなり面白い。残念なのは、シリーズ当初の「仙台圏ビブリオバトル」という遊び心のあるタイトルが、いつの間にか凡庸なタイトルに変わってしまったこと。何か事情があったのなら、説明があってもよかったのでは?