気仙沼の幻想的な気嵐(けあらし)の写真が朝刊1面を飾る(23日)季節が巡ってきた。巨大な見出しが躍った衆院選も終わり、紙面に近年の2大トピック「震災復興」と「外国人観光客誘致」に関する記事が戻ってきた霜月後半を振り返る。
 震災復興に関しては、22~24日朝刊くらし面「保健室からのまなざし 宮城・被災地の高校で」が特に気になった。発災当時、小学生だった子どもたちが中高生になった今、どんな学校生活を送り、どんな悩みを抱えているかを養護教諭への聞き取りでまとめたこの連載は、子どもたちに起きているネガティブな事象の原因を東日本大震災に転嫁しがちな社会の傾向に懐疑的だった私のもやもやを、多少なりとも晴らしてくれた。
 震災直後、英国から支援に入った災害被災地の子どもの心のケアを専門とする研究者は「子どもの精神力のレジリエンス(回復力)を信じた支援」を説きながら、被災地の学校を巡回していた。その声は、押し寄せる「被災地の子ども支援」の波にかき消されてしまったかのようでずっと気になっていたのだが、この特集記事は、周囲の大人たちの気遣いがそのレジリエンスを阻害してしまったのではないかという現場教諭の声を拾い上げた。6年半の時間を経てからの傾聴に値する声である。

 2大トピックのもう一方の「外国人観光客誘致」。「ホテル、スマホレンタル拡大」(16日朝刊1面)は、外国人観光客誘致に四苦八苦している東北エリアにとって、大きな戦力として期待できる取り組みを紹介する興味深い記事であり、取り上げ方もインパクトがあった。ただ、このようなツールに期待すべきは観光情報だけではなく、もはや災害大国となってしまった日本においては、災害情報の伝達という役割が大きいことにも踏み込んでもらいたかった。
 2020年東京五輪をピークに、これからも外国人観光客誘致に関する記事を抜きにしての紙面はあり得ないのかもしれないが、外国人観光客にとって再び訪れてみたいとは思わない地域の最上位となってしまった東北地域のメディアとしては、もっとシビアな目での取材を期待したい。

 さて、地方紙の魅力は、何といっても地元の人々の顔がたくさん登場することにある。「いい夫婦の日」としてすっかり定着した11月22日の朝刊社会面「軽妙寸劇 詐欺被害防ぐ」は、特殊詐欺への注意喚起を夫婦芝居で訴えている石巻署河南駐在所所長の警部補とその妻を取り上げたものだ。その夫妻の珍妙ないでたちを収めた写真に「何っすや?」と目を奪われ、一気に読んだ。素晴らしいご夫妻もいらっしゃるものだ。
 いい夫婦の日にふさわしいこんなネタをよくぞ仕入れたものだと感心!と思いきや、その記事のすぐ下に「妻のへそくり、夫の2.4倍」なる記事がセットのようにくっついている。それはまるで警部補夫妻のお宅事情のようにも受け取れて、さらに大笑いしてしまったのである。おちゃめな構成に座布団2枚。