「復幸の設計図 女川・公民連携の軌跡」が朝刊宮城版で、6月から長期間連載されている。6月の「第1部・萌芽」で、町復興連絡協議会(FRK)の立ち上がりと初期の活動が、8月の「第2部・再生」では、復幸まちづくり女川合同会社の設立、堀切山の造成工事決断の経緯が躍動的に記されている。
 この12月は「第3部・共創」(4、5、7日)。スピード感のある復興と町民の納得という両立が困難な二つの事柄を実現するために町民を巻き込んだ対話の過程を、震災直後の時点までさかのぼって描いている。
 まちづくりのプロセスに関する膨大な情報が、決して大きくない紙面の中に凝縮されていることに感銘を受けた。現在の女川にあるにぎわいが、並大抵ではない努力と汗の上に成り立っていることを、コンパクトかつ濃厚に学ぶことができる。

 この連載は、復興まちづくりにおける公と民の連携の重要性や、それを支えた仕組み・工夫を教えてくれている。このような記事は、東北の読者だけでなく、ぜひ全国、特に南海トラフ地震の想定エリアの方々にも読んでもらいたい。震災の発生から間もなく7年がたとうとしている中、言い換えれば10年を迎えるまでに、このような「ありのままの生の体験」を記録していくことは、大震災を経験した被災地の責務でもある。
 復旧・復興の過程に見る公民(官民)連携の事例には、これ以外にも東松島市の土地利用調整チームをはじめとした度重なる住民との意見交換、3.11メモリアルネットワークの取り組みなども挙げられる。東日本大震災からの復旧・復興に向けた活動は道半ばであっても、途中の段階で一連の過程を振り返り、「モデル」として伝えていくことの重要性を、今回の連載は改めて教えてくれた。

 もちろん、「東北の読者」を意識した連載もあった。朝刊ワイド東北面で12月5~7日、「葡萄(ぶどう)美酒 風土を醸す」というタイトルで、東北・新潟のブドウ畑と醸造所を構えるワイナリーを紹介している。紹介されたのは、酒井ワイナリー(南陽市)、仙台秋保醸造所(仙台市太白区)、カーブドッチワイナリー(新潟市西蒲区)。
 この連載のコンセプトは、単に「各地のワインを楽しもう」ということではない。記事中で「ワイナリー連携」「広域型ワインツーリズム」という言葉が紹介されている。各地のワイナリーは、各土地の風土を生かしたそれぞれの魅力を持っている。
 筆者は、酒井ワイナリーは同僚からの紹介で、カーブドッチは同級生の結婚式で、それぞれ訪れているが、秋保仙台醸造所に行くきっかけが、今までたまたまない。もし、醸造所間の「連携」が実現していれば、筆者も既に訪れていたかもしれない。
 「復幸の設計図」「葡萄美酒」両連載に共通するキーワードは「連携」。言うはやすしのこの言葉を実現化・現実化する上でのヒントをもらえたように思う。