60万個の電球の均質な黄金色の輝きに定禅寺通(仙台市青葉区)が彩られる師走。東京・表参道イルミネーション実行委員会から、少しばかり色の違う電球6万個をお借りした「あの年」の光のページェントに思いをはせながら歩いている人など、もういないのかもしれない。
 さて、メディア各社が行く年を振り返る特集を組みだすと、ワクワクというよりざわざわと落ち着かない心持ちとなる。本紙朝刊だけ見ても「’17みやぎ回顧」(宮城版)に「年末回顧2017」(娯楽面)、そして「回顧-2017」(科学面)と「回顧」尽くし。
 加えて、核のごみの最終処分の混迷を追った「沈滞 核のごみ最終処分」(1面で16日から上・中・下)、さくら野百貨店仙台店の経営破綻の背景を探った「検証 破綻」(1.3面で21日から上・中・下)と、渾身(こんしん)の取材が紙面に結実した師走であった。
 同時に、穏やかな年の瀬を願う市井の人々の気持ちを逆なでするようなニュースも連日載った。19日夕刊と20日朝刊のそれぞれ1面では、北海道東部沖でM9クラス巨大地震の発生が「切迫」と、まがまがしい白字黒ベタ文字が躍った。師走の寒空に「あの日」の寒空が重なって、心臓がしんしんと冷えるような記事であった。

 「命の危機」を感じる出来事が続く中、社会システムで救える命がある。熊本市の病院が導入を検討している「内密出産」(16日朝刊社会・総合面)。ドイツで実践されているシステムを参考に、事情があり匿名出産された子が成長後、希望すれば出自を知ることができる仕組み作りへの挑戦を扱った記事である。
 続く17日朝刊社会面では「飛び込み分娩(ぶんべん) 後絶たず」という見出しで東北大病院の現状が報告された。望まぬ妊娠をしてしまった未成年者だけではなく、経済的理由や孤立から30代の経産婦も少なからずいるという痛ましい内容だ。
 いずれの記事も、母子ともに危険性の高い孤立出産から、いかに命を守るかという最前線の取り組みを紹介している。パンダの出産に狂喜する同じ国の出来事とは到底思えない現実がここにある。

 とまあ、心がささくれ立つことの多い記事が続いたが、夕刊の紙面には心和むことも少なくなかった。中でも、Pay it forward、受けたご恩をその人に返すのではなく、ほかの誰かに送ろうという「恩送り」をコンセプトにハピナ名掛丁商店街(仙台市青葉区)が企画したイベント「幸せの花広げよう」(20日夕刊)の記事は、これからの人生、誰かのために志を届けたいと模索する私の胸に見事にストンと落ちた。
 そのほか、シリーズ「行きたい!! オトナの工場見学@みやぎ」や「仙台いやすこ歩き」にも、毎回、オバさんの中のわらすこ魂は癒やされている。
 7日の「デスク日誌」で、紙面作り「ようやく半ば」と記されていた元日の朝刊が皆さまのお手元に届くまで、あと少し。どうぞ良い年をお迎えくださいませ。