この年始、紙面を通して二つの「タイムトラベル(タイムスリップ)」を経験することになった。
 一つは「みやぎの平成30年~結ぶ、つながる~」という朝刊宮城版で元日に始まった連載である。平成になってからの30年、宮城であったことを12回で振り返る。筆者がこの稿を執筆している時点で、次の7回まで目を通している。
 (1)政令市・仙台市誕生(平成元年)(2)大学開学(石巻専修大、宮城大=元年、9年)(3)高森遺跡で旧石器発掘、捏造(ねつぞう)発覚(3年、12年)(4)仙台市地下鉄南北線全通、東西線開通(4年、27年)(5)サン・ファン・バウティスタ号進水(5年)(6)白石城復元(7年)(7)徳陽シティ銀破綻(9年)。

 ポジティブな見出しは5件((1)(2)(4)(5)(6))、ネガティブな見出しは2件((3)(7))である。「この30年の宮城は明るかった」ようにも見えるが、以上のポジティブな見出しの記事も、精読すると、それぞれの話題が決して明るい側面だけではないことが分かる。
 「(2)大学開学」では、卒業した学生を県内に優秀な労働人口としてどう供給していくかという課題が挙げられた。「(4)仙台市地下鉄南北線全通、東西線開通」では、愛宕橋駅や大町西公園駅の利用者の少なさと、運賃が高いという利用者の声が紹介される。
 「(5)サン・ファン・バウティスタ号進水」では、老朽化に伴う船内への立ち入り禁止措置や解体に向けた有識者の議論、「(6)白石城復元」では、関連イベントの活気に比して周辺人口が減少していることが、それぞれの華やかな面に加えて記されている。
 新年早々、少し気持ちが暗くなったが、宮城を改めて見つめ直さなければならないという警告と理解した。年末年始のリラックスしたムードの中、襟を正される思いだった。
 もう一つは、1月2日の「仙台初売り」を取材した記事(3日朝刊1面・社会面・宮城版)である。特に宮城版の「お目当て買えた?」には衝撃を受けた。この記事は、初売りに訪れた6人の方に対して、今年の予算額や購入した商品について聞いたものである。筆者は宮城県外出身者であり、初売りについて「個人の初売り事情の詳細」を取り上げたような記事をそれまで目にした記憶はない。

 ふと気になり、過去の1月3日の記事を読んでみた(ここでタイムトラベル)。やはり以前にも、買い物客に取材した記事が掲載されていた。ここ数年では、2年前の2016年同日紙面に、4人の買い物客に取材した記事が比較的広い紙幅を取って載っていた。
 今年の初売り記事は、さらに気合が入っていた。紹介された方の人数が6人と多いほか、より広いスペースを割き、6人の方々の顔写真まであったのだ。これには、筆者の家族や同僚も驚いていた。ビジュアルな紙面を通して、仙台初売りの誇り・気概を感じることができた。
 まだ一度も体験したことのない「仙台 1月2日」の世界に足を踏み入れる覚悟が芽生えた。