月の最終金曜日に定時より早く仕事を終えて、ちょっと豊か(プレミアム)な時間を-。官民挙げての「プレミアムフライデー」が24日に始まる。個人消費喚起と働き方改革の一石二鳥を狙うが、定着に向けて課題が少なくなく、看板倒れになる懸念もある。
 安倍政権は「新三本の矢」の一つとして、2020年度をめどに名目国内総生産(GDP)600兆円の実現を掲げる。そのためには、伸び悩んでいる個人消費の底上げが不可欠だ。
 そこで登場したのが「プレミアムフライデー」。米国で感謝祭直後の金曜日ににぎわう「ブラックフライデー」を参考に、個人消費刺激のための官民戦略プロジェクトの一環として、経済産業省と経団連が旗振り役となった。
 経団連では当日、会員企業に遅くとも午後3時退社とするなど、柔軟な働き方推進を要請した。各社もこれに応える動きを見せている。
 一方、流通・小売りや旅行、飲食などの業界では、各社が特別なプランを用意するなど、プレミアムな過ごし方をアピールする商戦は、東北でも熱を帯びている。
 ただ、果たして商戦ほど実際の機運が盛り上がっているかどうか、疑問が残る。
 旅行業者が1月に発表したアンケートでは「勤務先が導入済み」と「導入予定」を合わせても、取り組んだのはわずか2.2%にとどまった。
 実際に導入された場合の過ごし方についても、各種調査では、どれも半数前後が「自宅でのんびり」「帰宅する」など骨休め派だった。
 こうした調査結果などを受け、みずほ総合研究所は「消費押し上げ効果は限定的」として、現段階では0.2~0.3兆円ほどの需要喚起にとどまると試算している。
 受け入れイベントを催す業種の社員は当然休めず、負担増につながりかねない。大企業が率先して導入したとしても、結局、そのあおりを下請けなどの中小企業が受けてしまっては意味がない。
 求人倍率が高止まりし、人手不足に悩む中小企業が導入しようとすれば、人件費などのコスト増を強いられる。非正規雇用など時間制で働く人にとっては、労働時間減が収入減少となってしまう。
 何よりも実質賃金が伸び悩む中、月に1回、数時間早く退社できるからといって、財布のひもが簡単に緩むわけではないことは明らかだ。
 政府や経団連などは、導入を契機として、「働き方やライフスタイルの見直し推進」を掲げる。理想論としては分かるが、ならば派手なPRや商戦以上に、柔軟な働き方を可能にする政策的な誘導など実質的な取り組みが必要ではないか。
 「まず消費喚起ありき」では順番が逆であろう。いくら官民が威勢良く旗を振っても、一過性のイベントに終わりかねない。