文部科学省の組織的な「違法天下り」が拡大する様相を示している。内閣府の再就職等監視委員会が先月指摘したのは10件だったが、その後の同省の調査でさらに17件の違法あっせん行為が判明した。
 調査が進むにつれ、あからさまな手口も明らかになっている。「某氏」と称する同省OBが仲介役だったが、現職の文科審議官や人事課の職員が直接、調整に乗り出していたケースもあった。
 監視委員会に分からないようにしさえすれば、国家公務員法の規定を無視してもいいと考えていたのだろう。
 天下りは10年前から厳しく規制されるようになったとはいえ、それまではどの省庁も通常業務のような形で組織的に主導してきたはず。今もなお長年の悪弊に染まっていても不思議はない。
 根絶するのは容易でないだろうが、違法行為がここまで明確になった以上、新たな歯止め策が必要になっている。監視機関の充実や罰則の強化など、より実効性のある対策を急ぐべきだ。
 さらに、受け入れる側の責任も格段に重くなっている。利害関係がある場合は原則として禁止だし、在職中に本人と接触することも今は認められていない。
 採用に当たって法の規定を厳しく守ることは無論のこと、本当に必要な人材だったのかどうかの説明責任も伴う。安易に受け入れたのでは、天下りの不正はいつまでたってもなくならない。
 文科省の中間報告では、組織的な関与はますます濃厚になっている。外部の「某氏」とは人事課内の引き継ぎメモにあった表現で、具体的には同省OBで「教職員生涯福祉財団」の審議役を務めていた嶋貫和男氏とみられる。
 この財団には歴代の同省次官らが役員として天下っていたが、責任を取って全員が辞任する事態になった。
 文科省とその関連団体が密接に連携し、違法な天下りを続けていたことになる。国家公務員法が禁じる「組織的関与」は、現職ばかりかOBにまで広がっていたわけだ。
 今回の問題で目立つのは、天下り先に大学が多いこと。教員と事務職員の両方のケースがあるだろうが、教育行政を握る文科省は広い意味では、どの大学とも利害関係があるのでないか。
 癒着や不正を本気で防ごうとするなら、大学への天下りは本来認められるべきでないだろう。文科省はこの機会に、全国の大学への天下りの実態を詳しく示すべきだ。
 少子化や国の予算削減によって、大学経営は国公私立を問わず厳しさを増している。国の予算獲得のノウハウなどを得ようとして、天下りを受け入れるようなケースはないのだろうか。
 大学への天下りが異常な数に上って「文科省支配」のようになったのでは、将来が思いやられる。