仙台港で取り扱われる国際コンテナ貨物の回復傾向が鮮明になった。東日本大震災前の水準を2年連続で超え、安定しつつある。
 航路の復活に加え、建材など復興需要に支えられている面が大きい。東北の貿易拠点として発展し続けるためには、復興需要後を見据え、一層の利便性向上と長期的な戦略の構築が必要だ。
 宮城県の速報値で、仙台港の2016年の取扱量は約24万6000個(20フィートコンテナ換算)。15年より2万個余り増え、震災前の10年(約21万6000個)を2年連続で上回った。
 震災後の落ち込みから急速な回復を果たした要因は、航路の復活だ。16年4月には、韓国・釜山港を直接結ぶコンテナ船が就航し、定期便は直行9航路、内航フィーダー9航路と過去最多になった。
 輸出入品目は、復興需要が大きい建材や農林水産物、家電、自動車部品などが増えたとみられる。
 今後の需要拡大には、継続的なセールスが必要なことは言うまでもない。
 高砂コンテナターミナルの約6ヘクタールの拡張工事を行っており、19年度末に完成すると、年間取扱量が約30万個まで可能となる。出入り口や冷凍コンテナ向け電源設備の増設、再配置なども行われ、物流業者には使い勝手がよくなる。こうした点を荷主となる企業に広くアピールしたい。
 福島第1原発事故に伴う風評被害の払拭(ふっしょく)も欠かせない。
 韓国や中国などで放射性物質への懸念を理由とした水産物や農産物の輸入規制が続く。仙台港では、全ての輸移出コンテナの放射線量を測定しており、県のホームページで中国語、韓国語を含めて公表している。規制には根拠がないと理解を得るための交渉強化を政府に求めたい。
 将来を見据えた長期的戦略では、高速ネットワークを活用した地域間連携が貿易量拡大のカギとなる。
 仙台-八戸間の沿岸部では、三陸沿岸道路(359キロ)の整備が、国の復興期間が終了する2020年度の完了を視野に加速している。相馬-横手を結ぶ東北中央道(268キロ)や縦軸を結ぶ横断道の整備も進み、高速道路網は拡大する。
 東北地方整備局の川滝弘之局長は1月に東京で開催された仙台港の貿易促進セミナーで、「高速ネットワークの拡大によって、『遠い』『広い』という東北の弱点は克服される。東北の個性ある港と高速道路が結び付くことで付加価値が出てくる」と発展可能性を指摘した。
 港、道路に空港を加え、東北の高速ネットワークの一体活用と役割分担を図る構想の具体化が必要だ。人や物が東京に流れる東京中心主義から脱し、仙台港を拠点に東北が海外と直接結び付く割合を高めるビジョンづくりに早期に取り組みたい。