民進党の蓮舫代表は3月12日の党大会での「2030年原発稼働ゼロ」の方針表明を先送りする考えを示した。6月18日の通常国会会期末まで年限の明示は見送るという。
 原発政策の新たな方針は、執行部が次期衆院選に向けて与党と異なる明確な対立軸として思い描く大きな柱。原発容認派に押し戻された格好で、蓮舫代表のリーダーシップが問われよう。
 党のエネルギー環境調査会を中心に「原発稼働ゼロ」の目標年次を、従来掲げてきた「30年代」から「30年」へ、最大10年近く短縮する前倒し案を検討してきた。
 ところが、電力総連など再稼働推進の労組を抱える最大支援団体である連合が反発。労組系議員からも「現実的でない」「結論ありきの議論はおかしい」などと異論が出て、急ブレーキがかかった。
 支援組織の意見を聞くのは何ら不思議ではないが、それに拘束されるのはどうか。民進党は特定の階層の利害を優先する政党ではあるまい。
 結党宣言にもある通り、幅広い各層の声を代弁する「国民政党」であるはず。ならば、支持労組におもねることなく、まずは民意に真摯(しんし)に耳を傾けなければならない。
 安倍政権下では、原発は「ベースロード電源」と位置付けされ、なし崩し的に再稼働が進みつつある。福島第1原発事故の教訓はうかがえず、国民は不安を募らせている。
 実際、日本世論調査会による昨年11月の調査では58%が再稼働に反対し、賛成の35%を大きく上回っている。昨年10月の新潟県知事選でも、柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な候補が当選し、連合新潟が推した与党系候補は敗れた。
 出口調査の結果を見ると、原動力となったのは無党派層だった。野党第1党の民進党が政権交代を目指すならば、「無党派層は宝の山」(小泉純一郎元首相)であることを肝に銘じるべきだ。
 「脱原発」は、野党4党での選挙協力の「旗印」になり得る。この際、じっくり議論を重ね、法整備に向けて意見集約していくべきだ。
 ただ、選挙目当てと受け取られるような付け焼き刃であってはならない。工程表といった具体的な政策の裏付けが求められるのは当然だ。
 核燃サイクルからどう離脱するのか、使用済み核燃料をどう処理するのか、前倒しで増える廃炉の費用負担をどうするのか。どこまで踏み込むのかで本気度が試される。
 党内の原発容認派に配慮するあまり、中途半端なものに終わっては、かえって国民の信頼を失いかねない。「提案路線」を掲げる蓮舫代表の責務でもあろう。
 異論と向き合い、党内論議を深めていくのは大切だが、今後新方針が決まったならば意見が異なっても従うことは最低限のルールだ。民主党時代からの「内輪もめ」の悪弊を繰り返してはならない。