大阪市の学校法人「森友学園」が国有地を取得した経緯は不可解極まりない。
 大阪府豊中市の評価額9億5600万円の国有地(8770平方メートル)が1億3400万円で学園に売却されたが、値引き率86%という超格安の取引だった。
 ごみ撤去費用を差し引いたからだが、その算定根拠がはっきりしないばかりか、学園や財務省と政治家側との接触も浮かび上がってきた。
 問題への関わりは否定しているものの、自民党参院議員の鴻池祥肇(よしただ)・元防災担当相が3年前、議員会館で学園の籠池泰典理事長と会っていた。鴻池氏の事務所に対し、売却を担当した財務省近畿財務局が経過を報告していたという指摘もされている。
 財務省は政治家側から接触してきた可能性を否定しておらず、今後の調査によっては政治家らの仲介や働き掛けが明るみに出る事態もあり得るだろう。いずれの政治家にせよ、不当に関与していたら重大問題。国会の場で追及し真相解明を進めるべきだ。
 この国有地を巡っては2015年、国と学園の間で貸し付けと売買予約の契約が結ばれたが、翌16年に地中からごみが見つかり、値引きされて売却された。
 値引きの根拠となったごみ撤去費用は8億1900万円。算定したのは国有地を管理していた国土交通省大阪航空局だが、どこに調査を頼んで額を決めたのだろうか。それとも独自に計算したのだろうか。常識的には、専門業者がごみの量や撤去方法などを検討して見積もると思われるが、いまだにはっきりしない。
 さらに学園が必ず支出することも確認しなければならないはず。仮に実際の撤去費用が下回っていたら、不当な取引になりかねない。ごみ交じりの土砂を「敷地内に埋め戻した」という業者の指摘がある以上、工事内容を詳しくチェックしなければならない。
 財務省が売買交渉記録を廃棄したのも理解に苦しむ。会計検査院が検査することになったが、文書だけに頼らず、当事者から詳しく聞いて事実確認する必要がある。
 国有地問題とは別だが、開設予定の小学校に一時、「安倍晋三記念」という冠が付いていたことに加え、首相夫人が「名誉校長」だったこともあって、国会で追及される事態になっている。
 学園の独特の教育方針にはあぜんとするしかない。運営する幼稚園の園児に「教育勅語」を暗唱させ、運動会での選手の宣誓は「安倍首相頑張れ」だったという。明治から戦前までの価値観を信奉しているばかりか、あたかも政治的権力者を「個人崇拝」するかのような様相だ。
 民族差別的な表現の文書を保護者に配り、大阪府が問題視したこともある。教育の場には最もふさわしくない「排除」の論理に行き着くような危うさを感じてしまう。