まさに「向かうところ敵なし」ではないか。安倍晋三首相の超長期政権に向けた下地づくりが着々と進んでいる。
 自民党はきのうの党大会で、総裁任期について従来の「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長することを正式に決定した。
 安倍首相の自民党総裁としての任期は2018年9月まで。次期総裁選で3選を果たすことができれば、国政選挙の結果次第とはいえ、21年9月までの歴代最長政権が射程に入る。
 これから安倍首相が推し進めていく重要政策は何か。衆参両院で改憲勢力が発議に必要な3分の2議席を確保した今、思い描くのは憲法改正という「ゴール」であろう。
 安倍首相は党大会の演説で、今年が憲法施行70年になることを踏まえ「自民党の歴史的使命だ」として、改憲原案の国会提出に向けた議論を主導していく決意を表明した。
 採択された17年の運動方針でも、踏み込んだ表現が盛り込まれた。安倍首相の強い意向が働いたという。
 「改憲原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と、「発議」まで言及。衆参両院の憲法審査会での論議を促進するとした上で、「改憲に向けた道筋を国民に鮮明に示す」と強調している。
 ただ、なぜ今憲法を変える必要性があるのか、具体的な説明はなかった。どの条項をどのように変えたいのか、党総裁として見解を明らかにし国民に問うべきだ。「初めに改憲ありき」と言わざるを得ない。覆い隠された「本音」があるのではないか。
 緊急事態条項、教育の無償化、環境権など例示されるテーマを見ても、改憲の緊急度は低い。優先すべきは目前にある課題の解決だ。
 地方に恩恵が滴り落ちず、エンジンが失速気味のアベノミクスをどう立て直すのか。金融緩和頼みの手法はもはや、限界が見えてきている。
 財政再建も厳しい。20年度の基礎的財政収支は19年10月の消費税増税を織り込んでも赤字が見込まれ、財政健全化目標の達成は困難な情勢だ。
 安倍政権は各種世論調査で高い支持率をキープしているが、「ほかに適当な人がいない」という消極的支持が多いのが特徴だ。党内の人材不足、野党の頼りなさに助けられている面は否めない。
 だからこそ、謙虚で慎重な国会運営が求められるのだが、世論の反対が多かったカジノ解禁法の採決に踏み切るなど、強引な姿勢が際立つ。同時にチェック機能が働かず、第2次安倍政権発足から5年目の「おり」がたまってきたようにも映る。
 文部科学省の違法天下り、南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報の報告遅れ、「共謀罪」法案を巡る法相の迷走答弁、大阪の不透明な国有地売却問題…。「安倍一強」のほころびが今国会で、一気に噴出したと言えまいか。