広域的な地域経済の活性化を旗印に、地方銀行が手を結ぶ動きが全国で相次いでいる。地域ブロック間の競争激化が予想され、スケールメリットを生かした具体的な成果が問われる。
 東北6県の地方銀行6行と日本政策投資銀行が、観光産業の支援に関する業務協力協定を締結し、「東北観光金融ネットワーク」を設立した。金融機関が持つ資金と情報を生かし、訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致など、東北全体の観光振興を目指す。
 6行の頭取は都内でそろって記者会見に臨んだ。事務局を務める七十七銀行の氏家照彦頭取は「県境を越えて東北の一体感をダイナミックに出したい。各行の取り組みという点をつなげ、面にしていきたい」と抱負を語った。
 東北の地銀が手を結んだ背景には、「広域的な取り組みで、東北は乗り遅れた」(青森銀行の成田晋頭取)という危機感がある。
 東日本大震災や東京電力福島第1原発の影響も大きい。「ネガティブなイメージが焼き付いており、福島の現状を正当に認識してほしい」(東邦銀行の北村清士頭取)という被災地の願いがある。
 2016年に東北6県の旅館やホテルに泊まった外国人客は71万8600人で、前年より15.4%増えたものの、全国に占める割合は1.0%にすぎない。政府は2020年までに150万人に増やす目標を掲げる。
 ネットワークは今後、観光関連産業への投資や融資、観光に関する共同調査などを進める。東北を一体的に売り込む機運の熟成が成功のカギとなるだろう。
 観光振興に向けた金融機関の連携は、瀬戸内海沿岸の7県で先行事例があり、既に観光活性化ファンドを設立している。さらに、より広義の目的で地銀が結集する動きもある。
 伊予銀行(松山市)など四国4県の主要地銀4行は昨年11月、地方創生をキーワードに包括提携した。
 四国は人口減少、少子高齢化などの構造的問題が他地域以上に深刻だ。人口減少はペースが速く、2040年には現在より約100万人減り、300万人を切るとの試算がある。
 商談会共催や大規模災害発生時の相互支援協定などを通じて培った協力関係を深化させる。四国特有の資源と付加価値に注目したブランド化戦略、海外展開を含めたビジネス交流の活性化などに一体となって取り組む。
 「地域コミュニティーの再生に優先して取り組まないと、金融機関は生き残れない」(首都圏の金融機関幹部)という意識は共通認識化しつつある。地域経済の活性化を支援し、銀行も安定した顧客基盤と収益を確保する。こうした金融の原点ともいえる理念を実現できるか、広域連携の行方を地域も注視する。