日本の人口は2015年の1億2709万人から、50年後には3割減の8808万人まで減少する。国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口」だ。
 1億人を下回る予測時期は、12年公表の前回推計よりも5年後ろにずれて53年になった。人口減に歯止めがかからない厳しい状況に変わりがないが、若干緩やかになったのは救いだろう。
 女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」が、前回の1.35から1.44に上方修正されたのが要因だ。近年の30~40代の出生率上昇を受けたという。
 それでも、政府が目標に掲げた「希望出生率」の1.8には遠く及ばない。日本で人口増減のない状態を保つためには2.07の出生率が必要とされており、人口減少時代が将来にわたって続いていくことは明らかだ。
 とりわけ、少子高齢化で人口減少が急速に進む東北地方は東日本大震災と相まって、深刻度を増している。
 6県の総人口は15年国勢調査の速報値で、10年の前回より3.8%減少、戦後第2回の1950年から維持してきた900万人台を割り込む約898万人になった。
 前回比マイナスは4回連続で、落ち込み幅は過去最大だった。今後とも同様の基調は続くと見ざるを得ないが、悲観ばかりしていても物事は始まらない。
 これまで日本の人口は「富国強兵」を推し進めた明治時代以降、戦争の時期を除けば、右肩上がりで増えてきた。人口は国力の象徴で、減少には「衰退」といったマイナスイメージが付きまとう。
 しかし、もはや人口増加は不可能に近い状況と言っていい。求められるのは発想の転換で、人口減少社会を前提にした地域の再生を考えていかなければならない。
 政治も経済も「集中」と「効率」が物を言う時代が長く続いた。中央主権国家、東京一極集中、大量生産・大量消費…。追いつけ追い越せの上り調子の時代に適した「処方箋」ではあった。
 しかし、人口減の「下り坂」にあっては、ダウンサイジングしていかざるを得ない。それでも、将来に不安を抱かずに安心して暮らせる「適少社会」は描けるはずだ。
 これから目指すべきはヒト、モノ、財が域内を循環する持続可能な「定常型社会」であろう。
 そのためには、経済成長一辺倒である「豊かさ」の価値基準を見直されなければならない。歴史、自然環境、資源など、それぞれの特長を生かした身の丈にあった物差しが必要で、「東北スタンダード」もあってしかるべきだ。
 東北は深刻な状況に置かれているからこそ、弱みを逆手に取った取り組みの「先進モデル」になる可能性を秘めている。自治体も住民も「共創」の知恵を出し合うときだ。