衆院選挙区画定審議会(区割り審)は、小選挙区定数について「0増6減」を柱にした区割り改定案を安倍晋三首相に勧告した。政府は関連法の今国会成立を目指す。
 東北は定数1減となる青森、岩手両県で青森2区と岩手3区が南北に二分され、隣接の選挙区に統合された。宮城、福島両県でも計7選挙区の境界が変わった。
 見直しの対象は東北4県を含め19都道府県の97選挙区にも及ぶ。1994年の衆院小選挙区制導入以降、最大の改定であり、まずは新しい区割りの周知徹底を求めたい。
 ただ、最高裁から「違憲状態」とされた「1票の格差」是正のための措置とはいえ、人口変動に合わせて選挙の「土俵」が頻繁に変えられるのでは、候補者以上に有権者が戸惑う。しかも、定数が減らされるのは地方ばかりだ。
 数合わせの対症療法ではもはや限界なのではないか。参院の在り方を含め国会の抜本的な改革を検討すべき時期にきている。地方の声が反映されるよう、与野党は新たな制度設計に取り組んでほしい。
 大幅な見直しは2016年5月に成立した衆院選挙制度改革関連法に伴う。小選挙区を6県で各1減らし、15年国勢調査に基づき、1票の格差を2倍未満に抑えるようにした。比例代表定数も東北など4ブロックで各1減となる。
 今回の改定は第1弾で22年以降に第2弾が行われる。都道府県の人口比が反映しやすい新たな議席配分方法「アダムズ方式」が20年の国勢調査を基準に導入されるからだ。
 人口減、少子高齢化が加速する東北などはさらに議席が減らされる一方、一極集中が進む東京などの大都市部が増えることが予想される。地方の意見がますます国会に届きにくくなる懸念が募る。
 区割りの変更に、東日本大震災の影響をどこまで配慮したのかも疑問が残る。宮城6区から5区に組み入れられた被災地の南三陸町。「選挙区変更は復興の妨げになる」と、早くも政府に現状維持を要望する動きが出ている。
 地域の実情無視との批判もある。宮城4区の大郷町は歴史的、文化的なつながりに乏しい5区に編入された。「分権、創生と叫ぶ国が地方の足を引っ張る結果になりかねない」(赤間正幸町長)との声が上がるのも当然だろう。
 そもそも、衆院の定数削減は消費税の増税という痛みを国民に強いるに当たって、国会議員自らの「身を削る改革」として掲げられた。
 底流にあるのは、劣化が目立つ政治への国民の不満だろう。だからと言って単純に議員の数を減らせば、質が向上するというわけではない。
 見直された衆院の総定数465は戦後最少で、国際的に見ても日本は決して多くはない。多様な民意をすくい取る民主主義の原点からいっても、削減されることのデメリットにも目を向けるべきだ。