競馬、競輪、競艇、パチンコ…。日本は世界に名だたる「ギャンブル大国」である。にもかかわらず、依存症対策を長年、放置してきた「後進国」であることも確かだ。
 ここにきて、法制化に向けて動きだした。自民、公明両党が、既存ギャンブルでの依存症対策を強化するための基本法案をまとめた。各党に賛同を求めた上で、今国会に議員立法で提出し、早期成立を目指すという。
 国や地方自治体に対して、医療や相談体制の整備など、具体的な推進計画の策定を義務付けた内容が柱だ。
 カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法の施行を踏まえた措置だが、それはそれとして、予防や治療の視点を織り込んだ実効性のある本来の依存症対策につなげてほしい。
 ギャンブル依存症は単なる賭け事好きではなく、生活や人間関係の破綻につながることを理解していながら、賭博の衝動を抑えきれない状態を指す。
 特定の刺激に脳が過剰に反応する状態は、薬物依存やアルコール依存と同じ反応構造の明らかな精神疾患であり、精神科の医師らによる治療が必要とされる。
 法案では依存症の定義について、公営ギャンブルやパチンコにのめり込み、「社会生活に支障が出ている状態」と規定した。
 国などの推進計画には依存症予防教育の充実のほか、社会復帰、民間活動への支援、事業者による広告・入場規制も盛り込んだ。3年ごとに見直し、必要があれば変更するよう定めている。
 国が解禁している公営ギャンブルは競馬が農林水産省、競輪が経済産業省、競艇が国土交通省などと所管官庁が分かれており、横断的な対応が求められる。
 官房長官を本部長に、関連施策を統括する新組織「依存症対策推進本部」が司令塔役を担うというから、リーダーシップを発揮し、縦割りではない総合的な対策にしなければならない。
 厚生労働省が3月に発表した全国11都市の推計では、ギャンブル依存症の疑いのある人は成人の2.7%に上るというものの、その実像は必ずしもはっきりしていない。
 依存症の人は多重債務に陥りやすく、自殺に追い込まれたり、巻き込まれた家族がうつ病になったりするケースが少なくないという。
 まずは詳細な実態の把握があってこそ、初めて有効な手だてが打ち出せるはずだ。3年ごとに行う調査などを基に、施策にしっかりと反映させていく必要がある。
 ただ、現状のギャンブル環境のままでいいのか、という根本的な疑問が残る。
 賭博に溺れて身を滅ぼす人が相次ぐ現状は、どう見ても正常な姿とは思えない。抜本的な規制強化も併せて検討していくべきではないか。