地域の中で、地道に住民福祉を支える役割を担っている民生委員が今月、制度発足から100年を迎えた。非常勤・特別職で無報酬の地方公務員という位置付けで、全国に約23万人いる。
 社会構造の変化に伴い、求められる役割が多様化する中、負担増から充足率が低下、高齢化も進み、なり手不足が顕在化している。制度維持には、活動への一層の理解とともに環境の整備が求められるのは言うまでもない。
 民生委員制度は、1917年に岡山県で創設された「済世顧問」が始まり。戦前は「方面委員」と呼ばれ、48年に民生委員法が公布された。
 児童福祉法により、児童委員も兼ねる。自治会や町内会など地域から推された適任者を、都道府県や政令市が推薦し、厚生労働相が委嘱している。任期は3年で、昨年12月に改選された。
 民生委員は地域住民のまとめ役として、地域の福祉ニーズを把握し、要援助者の相談、見守りなどを行う一方、社会福祉施設や行政など関係機関との橋渡し役でもある。
 市町村の世帯数に応じて、定数が決まっているが、核家族化の進展や1人暮らし世帯の増加など社会構造の変化に伴い、業務量や定数も増加した。年間の活動日数は2014年度の1人当たり平均で約131日と、10年前より15日ほど増えている。
 本来の役割を越えていると思われるケースも少なくない。全国民生委員児童委員連合会の調査では、社会的に孤立している世帯に対して、民生委員が家事を手伝ったり、通院に付き添ったりするなどの支援の例が示された。
 99年度に21万6824人だった定数は昨年の改選時には、23万8352人と2万人以上増えた。が、欠員率は99年が0.7%だったのに対し、昨年は3.7%に悪化した。約7割が再任で、平均年齢も12年度で66.0歳と20年前より5歳も上がった。
 東北でも、東日本大震災の被災地などで欠員が目立つ。宮城では定数を200人以上下回る状況だ。
 集団移転や災害公営住宅建設などにより、地域コミュニティーが再編され、見守りなど民生委員の活動の重要性が高まる半面、住民同士の面識が薄れたことで負担を強いられる。当然、適任者が見つかりにくくなっている。
 活動充実には、就業しながらでも委員活動との両立が可能となるような支援制度が必要だろう。多様な人材を確保することにもつながる。
 具体的には、活動範囲や内容について各地域で整理し、関係機関との役割を明確化することで、民生委員自身の負担を軽減していくことなどが考えられる。
 「やりがい」と「誇り」を持って地域を支えている民生委員の活動を、地域が支える仕組みづくりも充実させていきたい。