自民、公明、民進3党はきのう、天皇陛下の退位を実現する特例法案に伴う付帯決議案で合意した。佐藤勉衆院議院運営委員長(自民)の提案通り、政府に「女性宮家」創設の検討を求めることなどを明記することで決着した。
 女性皇族が結婚後も皇族にとどまる女性宮家は、先細りにある皇室の喫緊の課題だ。野田内閣が2012年に論点整理をまとめたが、その後は棚上げされたままだった。決議に法的拘束力はないとはいえ一歩前進と言えよう。
 ただ、検討時期などが具体的に明示されず、曖昧になったのは否めない。ボールを受け止める政府の姿勢が問われる。皇位の安定的継承の意義を踏まえ、弥縫(びほう)策ではなく皇室典範改正を含め真正面から取り組んでほしい。
 女性宮家創設の検討については、衆参両院正副議長の主導で今年3月にまとめた国会見解に盛り込まれていた。
 ところが特例法案の国会提出後、自民党が付帯決議案に入れることに慎重な姿勢を見せたことから、明記を求める民進党との対立が再燃した。
 安倍政権の支持層に「女性宮家は女性・女系天皇の容認につながりかねない」という根強い反対論があるからだ。
 法案の審議入りにも影響が出かねない状況を懸念した自民党が、民進党の主張に譲歩する形で「女性宮家」の明記を受け入れた。
 付帯決議案は「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」と表現。皇位継承と女性宮家の議論を並列の扱いにした。女性宮家創設は検討課題の例示と指摘する向きもあり、解釈次第の余地が残った。
 民進党は検討開始を「法成立後」、国会報告を「1年をめどに」と主張したが、自民党に押し切られた。結局は「本法施行後速やかに検討し、その結果を速やかに国会に報告する」などとして、時期は明確化されなかった。
 政府が検討結果を国会に報告する期限をはっきりと区切らなかったことは、懸念材料と言わざるを得ない。
 今でこそ天皇陛下のビデオメッセージをきっかけに、国民の皇室への関心が高まっているものの、時がたつにつれて薄れていく可能性も否定できない。と同時に、政府の取り組みがペースダウンして、先送りされかねない。
 秋篠宮家の長女眞子さま(25)の婚約準備が明らかになったことで、皇室が置かれている危機的状況があらためて浮き彫りになった。
 天皇陛下を支える皇族計18人のうち、女性は14人を占める。未婚の女性は眞子さまを含めて7人で、20~30代が大半だ。結婚すれば、皇室典範に従って全員が皇籍を離れなければならない。
 政府の取り組みが遅れるほど、皇室の存立が脅かされ、その対応は一段と困難になる。女性宮家の創設を先延ばしできないのは明らかだ。