長い間ごたついてきた2020年東京五輪・パラリンピックの費用負担問題の「ゴール」がようやく見えてきた。
 宮城、福島両県など東京都以外の11の開催自治体がきのう、警備や輸送、医療サービスなどに要す運営費を負担することで大筋合意した。
 1兆3850億円(都の試算)に上る大会経費の大枠はほぼ確定した。各自治体の詳細な負担額は先送りされたが、開催地として一部運営費の支出は招致段階の「立候補ファイル」に基づく約束事だ。相応の負担はやむを得ない。
 本番前の「プレ大会」など今後の日程を考えれば、ぎりぎりのタイミングだった。都外自治体は今後、それぞれの持ち場で、ギアを入れ直して役割を全うしてほしい。
 運営費問題では5月下旬、7道県の知事に説明がないまま、都、大会組織委員会、国の3者で自治体側の負担を400億円と割り出し、合意した。「何も聞かされていない」「詳細が不明で受け入れられない」などと、知事らが反発したのは当然だ。
 きのう都内であった関係機関のトップらによる連絡協議会では、350億円に減額した運営費が示された。扱いについては「立候補ファイル」の原則を確認するにとどまり、具体的な業務の範囲や経費の積算は引き続き、都と自治体で精査するという。
 算定根拠が不明確という知事らの意見はもっともだ。五輪会場のセキュリティー対策や医療サービスの費用は、実施計画に基づき事業予算を組まなければ確定できない。
 その中では自治体では対応できない領域があろう。予算の枠内で賄いきれない場合も想定される。丸川珠代五輪相が「具体的な要求に対して必要な支援を検討する」と踏み込んだ発言をしたため、知事らの間で安堵(あんど)感が広がった。
 ただ、一連の費用問題を振り返ると、小池百合子都知事による会場見直しの段階から、都、組織委、国の連携不足が目立った。費用負担協議がもたついたのもそのためだ。
 負担の枠組みを巡り、行き違いや責任の押し付け合いが再燃するとも限らない。
 新設される経費支出を共同管理する組織が、どのような役割を果たすのかも未知数だ。都や国は自治体側の事情に配慮し、無理が生じないように最大限、対応してほしい。
 今回の問題を通じて、知事らが負担を頑迷に渋る「抵抗勢力」のような印象を与えられたのは残念だった。
 7道県は大会の分散開催に賛同し、オールジャパンによる五輪に寄与する姿勢で一貫している。まして国が掲げるテーマは「復興五輪」。サッカー、野球・ソフトボールの競技会場になるお膝元の宮城、福島両県は力が入っている。
 大会成功の鍵を握っているのは、関係機関の団結であることは言うまでもない。都や国は、地方自治体の協力姿勢に応えるべきだ。