茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の施設で6日、作業員4人が体内にプルトニウムなどを取り込む被ばく事故が起きた。
 うち1人は肺の放射線の量が2万2千ベクレルに達し、今後50年間で12シーベルトもの被ばくが推定されるという。プルトニウムは放射性物質の中でも最も厳重な管理が求められる。これほど多量の被ばくは許されることではない。
 作業員に急性の症状は出ていないものの、健康への将来的な影響も心配される。できるだけ早く体内から放射性物質を除去するよう、全力で取り組むべきだ。
 当然、事故の徹底的な調査も不可欠になる。公的な研究機関で信じ難いほどずさんな被ばく事故を起こしたのでは、原子力への信頼は根底から失われかねない。
 放射性物質を説明する際はいくつかの単位が使い分けられるが、そのうちベクレルは放射線の数を示す。2万2千ベクレルは1秒間に2万2千回放射線を出すという意味になる。
 その数値が高いほど放射能も強くて危険だが、人体への影響を直接表すのは東京電力福島第1原発事故で一般に知られるようになったシーベルト。さまざまな条件を考慮すれば、ベクレルからシーベルトを推定することも可能だ。
 50年間で12シーベルトとすると、平均して1年間に240ミリシーベルト。医療目的などを除いた一般人の限度が1年間で1ミリシーベルト、原発作業でも50ミリシーベルトであることを考えると、かなり多いのは間違いない。
 プルトニウムなどを肺に吸い込んでしまい内部被ばくが避けられないとすれば、何よりもまず、治療によって強制的に排出する手だてを講じることが求められる。
 そもそも放射性物質を吸い込むことは危険であり、絶対に避けなければならないこと。防げなかったのは、管理や作業手順の面で不手際があったからではないか。
 粉末状のプルトニウムなどをポリ容器に入れ、二重に袋詰めしてから貯蔵容器に保管していたが、ふたを開けたら袋ごと破裂、飛び散って吸い込んでしまったという。内部に高圧のガスがたまり、破裂したとみられる。
 仮に飛び散っても、口や鼻から吸い込まなければ内部被ばくはかなり抑えられる。作業員は防護用の半面マスクを着用していたが、顔を全面的に覆うマスクであれば吸入を防げたかもしれない。
 この貯蔵容器は26年間も封印されたままだったというから、定期的な点検や管理は一体どうなっていたのか。
 1999年9月、茨城県東海村の核燃料加工会社で起きた「臨界事故」で作業員2人が死亡したが、原因はずさんな作業だった。
 原子力はわずかなミスでも重大な結果をもたらす。怠慢や規則違反は言語道断であり、今回も厳しく責任が問われなければならない。