18日の国会閉会間際になって、事態がこうも急展開するのか。その意図に不信感を持たざるをえない。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設を巡る文書問題である。
 国家戦略特区諮問会議で決める新設要件に関し、内閣府の山本幸三地方創生担当相はきのう、自らが判断し「広域的に存在しない地域に限る」と原案を修正していたことを明らかにした。昨年11月のことだという。
 文部科学省が15日に明らかにした文書では、萩生田光一官房副長官からの指示だったとされていた。山本担当相が首相周辺の関与を否定したが、この修正自体が大きな意味を持つと言っていい。
 「広域」要件が入ることで、獣医学系大学がない四国の愛媛県今治市で計画を進める加計学園以外の申請はできなくなったとされるからだ。
 加計学園を前提にした学部新設の手続きが進み、「行政がゆがめられた」と文科省の前川喜平前事務次官が指摘した疑念の核心部分でもある。
 特区行政の担当相が、どのような意図でこの要件を加えたのか。明確に説明すべきである。
 一連の問題の発火点になった「総理の意向だ」「官邸の最高レベルが言っている」といった文言を含む文書については、きのうの参院予算委員会の集中審議でも取り上げられた。山本担当相は「そのような発言をした内閣府職員はいない」と、ヒアリングの結果を説明した。
 これらの文書は文科省の再調査の結果で省内に存在していたことが前日、確認されたばかり。「こうした趣旨の発言があったと思う」と文書を作成した文科省職員が証言しており、言い分が食い違う。
 内閣府側は「スピード感を持って取り組むようにという首相の常日頃の指示が、そのように伝わったのではないか」などと指摘し、受け止めた文科省側の責任に転嫁しようとしているように映る。
 国民不在の省庁間の責任のなすり合いではないか。
 具体的にどういうやりとりがなされたかは、第三者による徹底した調査や、前川前次官の証人喚問などで究明する以外にはあるまい。
 原点の文書問題を越え、「平成30年4月開学」を前提にしたスケジュール管理など政府と今治市の情報共有が早い段階から進んでいたとする新たな資料も確認されている。疑念は一段と深まっている。
 安倍首相は「岩盤規制を突破する過程で、ぶつかり合うこともあるが、政府全体で決定した。私一人で決めることはない」と関与を否定した。
 国民の不信が払拭(ふっしょく)されないのは、当事者である首相が十分な説明責任を果たしてこなかったからだ。国会閉幕での幕引きは許されるものではない。閉会中審査で真相を徹底解明すべきだ。