戦後の拡大造林で植えられたスギ中心の人工林が、伐採期を迎えている。今は、木を切って利活用するときだ。
 そうして林業や木材産業の再生を図ることは、中山間地に雇用を生み、地域経済を活気づける。木を切らず新たに植林もしなければ、災害に直結する山の荒廃に、歯止めをかけることはできない。
 山の緑を健全に保つことはそうした経済的効果、防災・国土保全に加え、水源かん養や二酸化炭素吸収といった森林が持つ多面的機能をも維持することにつながる。
 いかにして林業を再生させていくか。待ったなしの課題といえる。急務なのは、木を切って搬出、加工し、その一方で植林もする、現場で働くそんな担い手の育成だ。
 1980年に15万人近くいた林業従事者が、この30年間で5万人へと約3分の1に減った。65歳以上の割合は8%から21%へと上昇。人材不足は深刻で、高齢化率も高い。
 2020年の東京五輪に向け競技施設への利用を含め、国産木材の需要増が見込まれる。「即戦力」が必要だ。
 注目したいのは、府県による林業大学校の開設が各地で相次いでいることだ。学校教育法に基づく専修学校や各種学校、県の研修機関に位置付けられ、高卒者らが対象で定員は20人以内が多い。研修期間は1~2年。伐採や搬出など技術を体系的に習得する。
 12年度開校の京都を契機に10校が誕生。東北では15年度に秋田林業大学校、16年度に山形県立農林大学校(共に期間は2年)、本年度は3校目となる「いわて林業アカデミー」(期間1年)ができた。
 最新鋭の高性能林業機械の操作研修を取り入れ、現場で必要な資格も取得できる。同時に就職マッチングのため、林業関係企業や森林組合などで実務研修が行われる。
 秋田では、20近い業界団体や企業が協力し年に1、2回、山林や工場でインターンシップを実施。修了生の円滑な就職につなげている。
 大学校は、官民が手を携え林業を志す若者を育て、担い手として職に就いてもらう確かな橋渡し役になる。そうした官民連携による人材育成を強化し、広げていきたい。
 木材自給率は14年に26年ぶりに30%台を回復。安い輸入材に押されてきた国産木材もその良さが見直されている。
 林業を魅力ある産業にするには、需要の開拓が欠かせない。政府が力を入れるのは、強度が高く耐火性にも優れ中高層の木造建築が可能な直交集成板(CLT)を含む新建材の普及であり、再生可能エネルギーとしての木質バイオマスによる発電事業もある。
 スギなら良質材は柱、はりに、中質材をCLTに回し、その残材や低質材はバイオマス発電燃料とする。木を無駄なく使う、そうした仕組みづくりとともに、地域でいかに需要を掘り起こすか。官民挙げて知恵を絞りたい。