強気一辺倒で鳴らす安倍晋三首相がおわびと反省の言葉を口にするなど、いつになく低姿勢を見せた。通常国会の閉会を受けた19日の記者会見。「疑惑封じ」かのように強引に国会の幕引きを図りながら、今更何を弁解しても後の祭りではないか。
 しかも、学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡る問題などに真正面から答えず、説明責任を自ら積極的に果たそうとする姿勢が、感じられなかったのは極めて残念だ。
 安倍首相は国会答弁について「印象操作のような(野党の)議論に強い口調で反論してしまう私の姿勢が、結果として政策論争以外の話で盛り上げてしまった。深く反省している」と述べた。
 あたかも野党の執拗(しつよう)な追及が引き金と言わんばかりの発言だ。それこそ「印象操作」ではないか。
 「総理のご意向」などと記載された加計学園を巡る文部科学省の記録文書について、当初「怪文書」として再調査を拒んだ揚げ句に、国会閉会間際になって存在を認めた問題。「二転三転した形となり、長い時間がかかった。国民の不信を招いたことは率直に認める」とおわびした。
 ならば、首相が出席して国会の閉会中審査に応じるかどうかとなると、「何か指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と延べ、具体的には答えなかった。逃げた印象は拭えない。
 安倍首相が謙虚さを見せざるを得なくなったのは内閣支持率が急落したのが大きい。
 共同通信が実施した世論調査(17、18日)によると、安倍内閣の支持率は44.9%で、前回5月から10.5ポイントもダウンした。マスコミ各社の調査も同様な傾向で、30%台に落ち込んだところもある。
 最近は失言や不祥事など「失策」を重ねてきても安定飛行を続けてきた内閣の支持率だが、「潮目」が変わってきたのではないか。安倍内閣の強権政治に対する国民の不信感が、「沸点」に近づいていることがうかがわれる。
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を、参院法務委員会の採決を省くため中間報告という「禁じ手」を使って成立させたのも、「安倍1強」ゆえの数の力による横暴と映ったはずだ。
 一方で、民進党など野党の支持率も低迷したままで、反転攻勢の兆しさえ見えない。内閣不支持層が行き場を失っているように映る。逆に言えば、野党の存在意義も問われる事態と言ってもいい。
 安倍首相は「信なくば立たず」という、三木武夫元首相が座右の銘とした言葉を使った。周囲からの信頼がなければ、自分の目的を達することはできないという意味だ。
 国民からの信頼は政治の要諦である。「私は何も恐れない。ただ大衆のみを恐れる」。安倍首相はこの三木元首相の至言も拳々服膺(ふくよう)すべきだ。