学校法人「森友学園」(大阪市)を巡る一連の問題で、大阪地検が詐欺容疑などで強制捜査に乗りだした。
 疑惑発覚から約4カ月。いまだに真相はベールに包まれたままになっている。この事件を突破口にして全容を解明すべきだ。
 容疑は、法人が経営する幼稚園で、教員が専任の場合に支給される人件費や、障害のある園児の受け入れ補助金について虚偽の申請をした。大阪府から計約6200万円を不正に受け取った詐欺の疑いなどが持たれている。
 園児らに教育勅語(ちょくご)を暗唱させ古い道徳観を押し付ける一方、公金をだまし取っていたのだとしたら極めて悪質だ。
 渦中の籠池泰典前理事長(64)の刑事責任が問われるのは必至とみられるが、今回の容疑は学園を巡るさまざまな疑惑の一端にすぎない。
 核心は、大阪府豊中市の旧国有地が昨年6月、当初の鑑定価格から8億円も値引きされ、小学校の建設用地として学園に売却されたことだ。
 学園と親交があった安倍晋三首相や妻昭恵氏の関与の有無が取り沙汰される中、籠池氏は証人喚問で昭恵氏付きの政府職員から自身に送られたファクスの存在を明かした。
 中身は土地の借地契約などについて財務省に要望を伝えてもらった回答だったが、その後の土地取引が順調に進み、籠池氏は「神風が吹いた」などと証言した。
 昭恵氏からの指示はなかったのか。首相夫人としての影響力の大きさが、官僚の判断をゆがめたのではないか。国民の疑念は残されたままだ。
 旧国有地問題は、近畿財務局が不当に安く売却したとする背任容疑で告発状が提出され、地検は受理している。
 しかし、財務局は籠池氏との面会記録などの文書を廃棄し「事案終了」を決め込む始末だ。そうであればなおさら、地検は断固とした決意で解明に踏み込むべきだろう。
 ただ、疑惑発覚後、時間がたっており、証拠隠滅の恐れがないとは言えまい。なぜ、もっと早く捜査に着手しなかったのか、疑問を感じざるを得ない。さらに国会の閉会直後というタイミングは、政治への配慮もありありだ。
 取材に対して籠池氏は「国策捜査であり、逮捕されると認識している」と覚悟を決めている。一方で旧国有地問題については「立件となれば総理夫妻が捜査対象になる。総理のご下命があり、それを忖度(そんたく)する形で動いたと思っている」と改めて指摘する。
 小学校開設を目指した籠池氏の計画は、実現寸前で頓挫したものの、経営的に多くの問題を抱えていた小さな法人が、なぜ国の官庁と対等に渡り合えたのか。どうやって首相夫妻と懇意になれたのか。
 その不透明な経過が明らかにならなければ、政治はまた同じ轍(てつ)を踏むことになる。昭恵氏の説明責任は果たされなければならない。