日銀は、大規模な金融緩和をどのようにして終わらせるのか。その「出口戦略」について、説明を求める声が金融市場で高まっている。
 先進国の中で、米欧の中央銀行は金融政策の正常化という出口に向けかじを切った。特に米国は既に量的緩和をやめて相次ぎ利上げを実施、緩和策で膨らんだ保有資産の縮小にも着手する。正常化の最終段階を迎えつつある。
 ところが、日銀だけは物価上昇目標2%の達成を目指し長期金利を0%程度に抑える緩和策をなお維持して、これからも国債を買い続ける。
 この取り残され感に加え、緩和が長期化するにつれ、日銀の財務に悪影響を与えかねないとの懸念が市場には広がる。金融政策の信認に関わる問題であり、市場が出口戦略を求めるのは、このためだ。
 大規模緩和がずっとは続かない。いずれ出口に向かう。その際、いかに混乱を抑えるか。政策の予見性を高めるためにも必要なのは市場との対話であり、国民への説明だ。
 日銀は今、市場が抱える懸念としっかり向き合わねばならない。考え得るシナリオを示し、出口を巡る道筋や手だてについて、広く議論を始めるべき時ではないか。
 「異次元」と称した緩和策はもう4年が過ぎた。金融機関から国債を購入し、市場に大量のお金を供給する。だが当初、2年で達成すると約束した2%の物価上昇のめどは今もって立っていない。
 資産の膨張ぶりは異様というほかない。大量の国債を買い続けた結果、日銀の総資産は500兆円を超えた。日本の国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する規模だ。米欧はGDPの2~4割だから、その突出ぶりは桁違いだ。
 しかも、国債発行残高に占める日銀の保有割合は4割を超え、財政赤字を中央銀行が穴埋めする「財政ファイナンス」色も強まっている。
 そうした未曽有の環境の中で、市場が懸念する第一のリスクは日銀の財務問題だ。
 緩和の出口を模索する局面で金利が上昇し、長期金利が1%上がった場合(国債価格は下落)、日銀の保有国債に20兆円を超す含み損が出る。さらに、日銀の当座預金にお金を預けている金融機関に対する利払いが増え、日銀の決算が赤字になる恐れもある。
 そうなれば日銀に対する市場の信認が揺らぎ、大混乱を招かないとは言い切れない。
 それ以上に心配なのは、出口なき緩和策継続が、財政への国際的信認を失墜させはしないかということだ。さらなる国債購入は、財政ファイナンス色を一段と強め、ゼロ金利下で国債を発行できる環境は、政府の財政規律の緩みを一層助長しかねないからだ。
 日銀は現時点での出口戦略の議論について「混乱を招く」と回避する。だがリスクのことを考えれば、先送りすることこそが、大きな混乱の種をまくことにならないか。