国会や地方議会の選挙で、候補者数をできるだけ男女均等にするよう政党に促す「政治分野における男女共同参画推進法案」は、先の通常国会で提案が見送られた。
 与野党の歩み寄りで合意が図られ、せっかく法案成立のめどが立っていたのに、紛糾した「加計(かけ)学園」問題のあおりを食って、はじき飛ばされた格好だ。国会の役割放棄と言わざるを得ない。
 2020年までに指導的地位の女性の割合を30%に引き上げる目標を掲げる安倍政権の本気度が問われる。野党も「女性の活躍推進」には異論はないはずだ。共同責任で臨時国会で成立させてほしい。
 法案は罰則などの法的強制力を伴わない「理念法」という位置付けながら、伸び悩む女性の政界進出を後押しする画期的な法案だった。
 基本原則は、衆参両院、地方議会での男女の候補者数を「できる限り均等となる」ことを目指す、とした。政党に候補者数の目標を定めるなど自主的な取り組みを、国や地方自治体には実態調査や啓発活動などを求めている。
 民進、共産など野党4党が昨年5月、候補者擁立の際に「男女同数」を目指すとした法案を国会に提出。一方、自民党は同12月、公明党や日本維新の会と共に、「男女均等」とした法案を出した。
 結局、野党側がこれ以上与党との対立が続けば、「女性の政治参加がさらに遠のく」として譲歩。法案の早期成立のために一本化に応じ、「均等」の表現に落ち着いた。
 日本の実態は「後進国」と言っていい。国会で女性が占める割合は衆院が9.3%、参院が20.7%にとどまる。列国議会同盟の調査(3月現在)を見れば、下院(衆院)の女性比率は193カ国のうち164位に沈んでいる。
 もはや貧困、格差、少子高齢化といった政治課題は、男性に偏る視点では解決できなくなってきている。生活に根ざす女性ならではの皮膚感覚を生かしていく必要がある。
 そのためには法案もさることながら、女性の政界進出を妨げるハードルを引き下げる環境整備が不可欠だ。
 地方に根強い「男性は仕事、女性は家庭」という伝統的な価値観を改めるよう、社会全体の意識改革に一段と力を入れていくべきである。
 いざ立候補ということになれば仕事や出産・育児、介護との両立を迫られるケースもあるだろうし、選挙資金の手当ての問題も避けられない。
 議会や党には、今すぐにでも全面支援する仕組みづくりを求めたい。
 均等を着実に実現していくのであるならば、諸外国で改善効果を上げている仕組みも考えていきたい。議席や候補者の一定割合を女性に振り分ける「クオータ制」も検討課題の一つではないか。
 法案を男性優位にある議会の「ガラスの天井」を打ち破る契機にしていくべきだ。