自転車は幼児からお年寄りまで気軽に使え、環境に優しく健康増進にも役立つ。利用環境を整え活用を促すことは、少子高齢社会など時代の変化に対応したまちづくりに貢献し得るだろう。
 政府は今秋から年末にかけ、自転車利用を促すため専用道や駐輪場の整備目標などを定める推進計画の骨子案を作る。5月に施行された「自転車活用推進法」を受けた動きで、整備目標に加え、実現へ向けた財政措置を盛り込む。
 推進法は議員立法で昨年末成立した。国に推進計画の策定を義務付けるとともに、自治体にも対応努力を求めた。
 重点施策として専用道などハード整備のほか、災害時や観光誘客面の活用、安全教育など14項目を列挙し、利用環境の総合的な改善を目指す。
 東日本大震災時の深刻なガソリン不足は今も記憶に残る。燃料が要らない自転車は災害時の移動、運搬手段として有用性がある。「ゆっくり名所巡りを楽しみたい」といった国内外の観光客のニーズにも応えられる。
 推進法の重点施策に挙げられた項目は、環境に優しいまちづくり、防災対策、観光振興策、健康づくりなど自治体や地域が取り組むべき課題とそのまま重なる。
 どの自治体も少子高齢化や財政窮迫の影響もあり、コンパクトなまちづくりへの転換を迫られている。市街地が郊外に広がる時代、交通の主役は自動車だった。今後、自動車前提のまちづくりからの脱却は避けて通れまい。推進法を交通体系見直しの契機として生かしたい。
 自転車の国内保有台数は、自動車に匹敵する約7200万台に上る。人口当たり保有台数の国際比較も、上位を占める欧州諸国に割って入る多さだ。これを地域課題を解決するための潜在資産と捉えることは可能だろう。
 自転車を交通の一つと位置付ける自治体は、駐輪場やサイクリングロード整備などを進めてきた。仙台市も電動アシスト付き自転車の有料貸し出し事業を行っている。
 まちづくりへの寄与度は、これら事業が体系的で一貫したものとなっているかどうかで左右されよう。途切れ途切れの通行帯、駅から遠かったり地下へ長い通路を歩かされたりする駐輪場、魅力が薄い貸出・駐輪料金。使い勝手の良くない事業が、ばらばらに実施されていないか。
 駅に最も近い公共駐車場を駐輪場に変える。バスや地下鉄に自転車持ち込みスペースを設ける。高齢者に電動アシスト車を無料で貸し出す。中心部では自動車の優先順位を下げ、車線を自転車に割くことを考えてもいいのではないか。自転車利用者の視点で工夫を凝らす余地はある。
 安全教育の徹底も不可欠だ。ドライバー、社会人を含めた自転車安全教育の機会を充実させ、マナー向上と交通事故の減少につなげたい。