おごり高ぶった振る舞いが続く「安倍1強政権」に、痛烈な不信任が突き付けられたと言っていいのではないか。
 2日投開票された東京都議選(定数127)は、小池百合子知事率いる「都民ファーストの会」が、49議席を獲得して第1党に躍進。支持勢力を加え、79議席の過半数を確保して完勝した。
 自民党はすさまじい逆風にさらされた。改選前57議席から過去最低だった38議席を大幅に下回る23議席に沈み、歴史的惨敗を喫した。2012年12月の衆院選以来、大型選挙で圧勝してきた安倍晋三首相にとって、政局の潮目になりかねない痛手だろう。
 森友学園、加計(かけ)学園問題で、安倍首相や周辺人物が説明責任を果たすことはなかった。国民の賛否が割れる「共謀罪」法を巡っては、委員会審議を打ち切る強引な採決の末に成立させた。
 都合の悪い問題にはだんまりを決め込み、反対があっても実現したいことは数の力で押し切ったと、有権者に映ったのは間違いない。
 閣僚の失言も目に余った。都議選の選挙応援で稲田朋美防衛相が「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と支持を呼び掛けた。豊田真由子衆院議員(自民党離党)の秘書に対する暴言など不祥事も止まらない。
 安倍首相の求心力低下は避けられない。早期の内閣改造で立て直しを図るのだろうが、政局は流動化しそうな気配だ。自民党内に鬱積(うっせき)する首相への不満が、一気に噴出することも予想される。
 首相は年内に党憲法改正案を国会に提出し、2020年の改正憲法施行を目指す意向だ。18年9月には党総裁選、同12月には衆院議員の任期満了を迎える。
 次期衆院選と憲法改正国民投票の同時実施も取り沙汰されたが、党内には慎重論が広がるとみられ、思い描くスケジュールに不透明感が増す。
 まずは惨敗を踏まえ、首相は野党が要求している臨時国会や閉会中審査に応じるべきだ。積み残されたままの多くの疑問について、説明を尽くすことを民意は求めている。
 圧勝した小池氏は、昨夏の知事選に続き自民党を「敵」に見立てた劇場化戦略が的中した。裏返しすれば、「敵失」に乗じただけとの冷めた見方もできよう。
 市場移転問題を巡っては豊洲、築地の共存策に「都議選目当ての玉虫色決着」との批判は根強い。
 都民ファーストの会の「実力」にも疑問符が付く。当選49人のうち新人は39人に上り、大半が政治経験ゼロという。小池旋風に支えられた「人気投票」の側面は否めない。
 「復興五輪」を掲げる20年東京五輪まで3年。巨大化した地域政党は、躍進の原動力である小池氏とどう緊張関係を保つのか。「追認集団」と化す恐れはないのか。早速、真価を問われることになる。