北朝鮮はきのう、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に初めて「成功した」と発表した。
 日本海に向け発射され、秋田県男鹿半島沖約300キロの排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられるミサイルを指すようだ。
 事実だとすれば、進展しているとみられる核兵器の小型化と併せ、北朝鮮は米本土を標的に攻撃し得る核ミサイル能力を持つ可能性を一段と高めたことになる。
 北朝鮮の核・ミサイル開発阻止に向け、一時、軍事的圧力を強めたトランプ米政権は核実験と共に、ICBM発射実験をレッドライン(越えてはならない一線)としていた。実験成功が事実なら、朝鮮半島を巡る軍事的緊張が再び高まる恐れも否めない。
 だが、この北朝鮮の発表の前に米太平洋軍は中距離弾道ミサイルだと発表。日本は新型弾道ミサイルか、その派生型とみている。米本土に届くかどうかを含め、日米韓は連携して、このミサイルの分析を進める必要がある。
 それにしても、今年10回目のミサイル発射だ。EEZ内であり、漁船が巻き込まれかねない、危険極まりない挑発行為だ。過去の国連安全保障理事会決議に対する違反は明白であり、断じて許せない。
 もっとも、この挑発行為を阻止できないがために、北朝鮮のミサイル能力と技術が進歩したことは確かだ。
 その脅威封じ込めへ、国際社会の結束が改めて問われる局面だといえよう。
 今週末にドイツである20カ国・地域(G20)首脳会議では、日米韓に中ロを加えた「6カ国協議」首脳が顔をそろえる。北朝鮮に核とミサイルの開発を放棄させるべく、「国際包囲網」のたがをしっかりと締め直す必要がある。
 北朝鮮が核・ミサイル開発にこだわるのは、米本土を直撃する核ミサイルを持つことが、米国による攻撃を抑止し体制の維持につながると判断しているからだ。
 だから、このミサイル発射を米国の独立記念日(7月4日)に合わせたのか。急速な核戦力整備を誇示することによって、米国に戦略的な譲歩を迫り、無条件対話につなげる腹づもりなのだろうか。
 同時に、今回のミサイル発射には、G20首脳会議で、北朝鮮に対する圧力強化が議論されることをけん制する狙いがあるとみられる。
 米国は先月末に北朝鮮と取引のある中国の銀行を対象とする独自制裁を発表。G20でも核ミサイル開発の資金源遮断へ圧力を強めるため、各国首脳と協議する考えだ。
 国際包囲網の実効性を大きく担うのはむろん、北朝鮮経済の生命線を握る中国だ。日本も米韓と連携し、中国に「行動」を迫っていきたい。
 ただ、ICBMかどうかの分析結果を踏まえ、米国の対北朝鮮政策が変更を迫られる可能性もある。注視したい。

2017.7.5