仙台空港が全国初の完全民営化から1年が過ぎた。誘致が奏功して国際線の就航が増え、利用客数も上向いてきている。「テイクオフ」に成功し、「安定飛行」に乗ったと言っていいだろう。
 「国が各業務をバラバラに管理するよりも民間が一体的に運営した方がうまくいく。この1年で空港運営は民間がやるべき仕事だと実感した」
 国から30年間(最長65年)の運営権を22億円で取得した運営会社「仙台国際空港」(名取市)の岩井卓也社長は仙台市内で開いた記者会見で、初年度から民営化の成果が出ていることを強調した。
 実際、数字上からも裏付けられる。2016年度営業損益は1億円の赤字だが、民営化前より大幅に圧縮された。17年度は赤字が5千万円に縮小する見込み。5年以内の営業黒字化目標が視野に入る。
 黒字が多い空港ビルなどの非航空事業と、赤字体質の航空系事業を一体的に運営することで活性化させ、着陸料の引き下げや路線拡充につなげていくというのが、国の民営化の狙いだった。
 その意味で、仙台空港は「試金石」としての役割を果たしているのではないか。「上昇気流」に乗り、高松、福岡、北海道など全国で着々と計画が進む空港民営化のモデルケースになってほしい。
 利用客を見ても順調な滑り出しだ。16年度(速報値)は316万人で、前年度と比較して5万人(1.6%)増えた。国内線は微減だったものの、国際線が約4割増と伸びたのが大きい。
 17年度の目標としては341万人を掲げ、20年度に410万人、44年度には550万人に増やす計画を描く。
 目標達成の鍵を握るのが格安航空会社(LCC)を軸とする路線の拡充である。
 16年は初の海外LCCとしてタイガーエア台湾が台北線を新規就航させ、アシアナ航空がソウル線を増便した。
 17年はスカイマーク(東京)が7月、神戸線を再開。9月にはピーチ・アビエーション(大阪)が仙台空港拠点化に伴い、台北線、札幌線を新設する運びだ。
 LCCのニーズに合わせて国際・国内競争を勝ち抜くためには、現在の運用時間(午前7時半~午後9時半)の延長が今後の課題だろう。周辺の理解や騒音対策が不可欠で、宮城県が調査を進めている。24時間化も将来的に検討する必要性がありそうだ。
 インバウンド(訪日外国人旅行者)ばかりに目が向きがちだが、新規就航を呼び込むためにもアウトバウンド(出国日本人)に力を入れたい。そのためには官民挙げての取り組みが一段と求められる。
 民営化で最も懸念されたのは安全運用の面だった。しかし、この1年間で空港の管理を問われるような有責事故はなかった。これからも安全管理に向けて投資や人材育成に全力を挙げてほしい。