広く全国から寄せられる職員の応援やボランティア、物資の支援をどう受け入れ、救助や復旧に生かすか。九州北部の豪雨でもそうだが、災害対応において「受援」の考え方が重みを増している。
 被災時の混乱を回避するためには被災地側の事前の構えが重要になるとして、内閣府は3月、「災害時受援体制に関するガイドライン」を示し、全国の自治体に受援計画の策定や態勢づくりを促した。
 都道府県は応援と受援を総合調整する窓口となる応援・受援本部を、市町村は現地の受け入れ担当部門となる受援班を平時から設け、担当者が必要な業務を整理し、内部の役割分担などを進めておく必要がある、としている。
 阪神・淡路大震災後は自治体同士の相互応援や広域支援の枠組みづくりが進み、受援の考え方はある程度理解が進んだが、東日本大震災では想定以上の膨大な応援と支援の調整に職員が忙殺され、混乱した自治体が多かった。
 昨年4月の熊本地震でも応援や支援の全体像の把握が遅れ、応援職員や支援が滞留する問題が繰り返された。
 震災後に災害対策基本法が改正され、地域防災計画に受援計画を位置付ける必要性が明示されたが、策定が進まなかった背景もあり、ガイドラインの提示につながった。
 東北では岩手県が2014年に受援応援計画、男鹿市が16年に受援計画を策定しているが、概して動きは鈍い。
 宮城県は16年に応援計画の策定を済ませたが、受援計画はこれから。来年度に向けて策定作業を進めるという。県によると、県内の市町村で独立した冊子の形で受援計画を定めたところはまだない。
 復興過程で実質的に受援のノウハウを蓄積した自治体も多く、計画策定を急ぐ必要は薄いと受け止められているようだが、被災地の自治体から受援の重要性を発信するためにも策定は必要だろう。
 応援や支援をさばく被災地側の力は復旧や復興の行方まで左右する。受援力の重視はそのまま備えの熟度を高めることにつながる。担当窓口の整備も含めて、この機会に東北の自治体の計画策定が加速することを期待したい。
 肝心なのは、計画や態勢づくりを平時からの連携強化の土台にすることだろう。
 総合防災訓練などを通じて想定される応援相手と連携を深めている自治体もあるが、民間も含めて災害対応に欠かせない関係先と幅広く定期的な情報交換や研修まで踏み込んでいる例は多くない。
 自治体と自治体、自治体と企業、大学、NPOといった一対一のつながりの調整ではなく、関係先が輪になって常に深く連携している状況をつくり出しておくことが、災害対応の底力になる。
 受援の視点を出発点に、大きな公助、共助のネットワークを描く構想力が自治体には求められている。