国と地方の基礎的財政収支を2020年度に黒字にする政府の財政健全化目標の達成は、極めて難しい。そのことが、内閣府が18日に公表した中長期の経済財政試算で改めて鮮明となった。
 収支は、政策経費が借金に頼らず主に税金でどの程度賄えているかを示す。名目で3%以上の、近年にない高成長が続く前提でも20年度の収支は8.2兆円もの赤字だ。
 安倍政権が掲げる経済財政運営の看板は「経済再生なくして財政健全化なし」。経済成長に伴う税収増を頼みとした財政再建路線である。
 だが、この試算が物語るのは、その路線が十分な効果を上げておらず、看板倒れとなる現実だ。成長頼みの行き詰まりを政権は直視したい。
 収支の改善には歳出を抑えるか、増税を軸に歳入を増やすしかない。歳出と歳入の不断の改革だ。財政を立て直すのに「打ち出の小づち」はないことを肝に銘ずるべきだ。
 この試算には、19年10月に消費税率を8%から10%に引き上げることも盛り込まれている。それでも大幅な赤字なのだから、20年度の目標達成は絶望的と言っていい。
 成長に伴う税収増が、いかに当てにならないか。そのことを示すのが、先頃まとまった16年度一般会計決算だ。税収が、実に7年ぶりに前年度を下回った。年度途中までの円高で、企業収益が伸び悩んだことが響いたとみられる。
 安倍政権が発足して、税収は確かに増えた。政権誕生時がリーマン・ショックによる落ち込みからの経済回復期であった上に、大規模金融緩和による円安で企業業績が改善したことが大きい。
 この税収増を活用し政権は経済対策を打ち、さらなる成長と財政改善にもつなげようという好循環を狙ってきた。
 そのかいもあってか、内閣府の有識者会議によれば、政権が発足した12年12月から、一度も後退せず今なお景気の拡大期は続いているという。だが、それでも、円高という為替相場を要因に、税収は減少に転じるのである。
 この不確実性が示すのは、安倍政権の経済財政運営路線の不確実性そのものである。
 同時に見逃してならないのは、税収が増えても借金返済には回らず、国の債務残高は増え続けていることである。
 「成長のため」もあって予算規模は膨張し続け、安倍政権発足以降、補正予算を含めて新たに発行された国債は約200兆円にも上る。借金依存体質に何ら変わりはない。
 20年度の財政健全化目標達成は絶望的という、この試算を受け今後、目標の見直し論議が本格化しよう。
 成長頼みの財政再建路線からの転換を図り、借金依存にもメスを入れ財政規律を厳格化する。新たな目標とその道筋・手だてを巡る、そうした議論が深まることを望む。
 もう、これ以上、将来世代にツケを回してはならない。