ふるさと納税の寄付総額が過去最高を更新する一方、これまで多くの寄付を集めてきた自治体で、人気の返礼品が続々と姿を消しつつある。
 返礼品競争への批判が強まる中、総務省は今年4月、調達額を寄付額の3割以下に抑えることなどを求める通知を出したのに加え、5月には価格や換金性、資産性が高いと判断した返礼品について一部市町村に直接、見直しを再要請したからだ。
 県と県内市町村で2016年度、東北最多の計225億3300万円を集めた山形県では、16市町が総務省の再要請を受け、大半の自治体が指摘された返礼品を別な品物に変更すべく準備中だ。
 米沢市は7月末にパソコンの取り扱いをやめるほか、天童市も8月末に高級将棋駒「盛上(もりあげ)駒」などを返礼品から除外する。米沢市が集めた寄付額は市町村としては全国7位の35億3100万円、天童市は9位の33億5800万円。
 両市をはじめ「稼ぎ頭」だった返礼品を変更する自治体は今後、これまで通り多額の寄付を集めるのは難しくなるとみられている。
 総務省の通知や再要請には当初、不信や反発を示す自治体もあった。山形県の吉村美栄子知事は5月下旬、「(贈り物には)半返しという言葉もある」と述べ、返礼品調達額の割合が3割を超えても問題はないとの考えを示した。
 この発言には県内の市町村の支持が広がり、一時は「私たちとしても『半返し』が社会通念だと考えている」(酒田市)として国の方針を公然と批判する自治体も表れた。
 これに対し、総務省は19市町に返礼品の見直しを迫る電話を頻繁にかけ、期限を区切って検討状況を確認。各自治体側は不本意ながら変更に向けた検討に取り組まざるを得なくなった。
 しかし、地方交付税制度を所管する役所が、権限を背景に自治体を押さえつけなければ収拾できないような混乱を招いた原因は一体何なのか。
 ふるさと納税は、第1次安倍晋三政権で総務相だった菅義偉官房長官が提案し、2008年4月にスタートした。15年度からは「地方創生」を後押しするとして、寄付の上限額を約2倍に引き上げたほか、5自治体まで確定申告不要とするなど、手続きも簡素化したことで急拡大した。
 制度創設時から過剰な返礼品を規制すべきだとの議論はあった。自治体同士が税収を奪い合う構図になるのが避けられない以上、自治体が競って返礼品に工夫を凝らすのは必然と言えた。
 多額の寄付が可能な高所得者ほど、節税の恩恵が大きいといった欠陥を放置してきたことも、この制度を官製「お取り寄せ通販」に堕落させた一因であろう。
 今回の返礼品騒動で問われるべきは、自治体の節度以前に、こうした対策を怠ってきた政府の責任である。