米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡り、国と沖縄県が司法の場で再び対決することになった。
 沖縄県は24日、県の岩礁破砕許可を更新せずに政府が埋め立て工事を進めているとして、工事の差し止めを求める訴訟を那覇地裁に起こした。判決まで工事を中断させる仮処分も併せて申し立てた。
 このまま埋め立て工事が進んで行けば、物理的に二度と後戻りできない状況に陥ってしまう。「移設は到底容認できない。不退転の決意で取り組んでいく」。「沖縄の心」を体現する翁長雄志知事の強い意志の表れに違いない。
 翁長知事は、埋め立て承認取り消しを巡って国が起こした訴訟の最高裁判決(昨年12月)で敗訴しており、国は辺野古移設の問題は決着済みという立場だ。
 ただ、今回の提訴は工事の手続きの違法性を問題視しており、別の訴訟である。
 移設工事を巡っては漁業権が設定された海域で海底の地形を変える場合、県規則で知事の岩礁破砕許可が必要だ。
 3月末で許可期限が切れたにもかかわらず、更新せずに工事を続けているのは違法、というのが県側の主張だ。一方、国は地元の漁協が漁業権を放棄したことから「許可は不要」と反論している。
 県は漁業法の趣旨やこれまでの政府見解などを踏まえて、「漁業権消滅に必要な知事の変更免許が出ておらず、許可は必要」と指摘。国は最高裁判例を盾に審理の対象にならないとして、訴えの却下を求めていくという。
 これまで安倍晋三首相は「普天間の危険性除去のために、移転先は辺野古以外はない」と、辺野古オンリーの姿勢を一貫して崩していない。マティス米国防長官も「辺野古唯一」の見解を示している。
 沖縄県民にとって、一切聞く耳を持たない姿勢は「門前払い」のように映るのではないか。日米安保は大切といいながら、沖縄だけに米軍基地の7割を押し付けるゆがんだ構図が一向に変わらないことに、いら立ちや焦りを高ぶらせているのは明らかだ。
 歴代の自民党政権の中には小渕恵三、橋本龍太郎の元首相や野中広務、梶山静六の元官房長官ら沖縄に心を寄せた政治家が少なからずいた。
 沖縄戦で本土の「捨て石」となり、戦後は米国に統治された苦難の歴史を理解しようと努め、自らの政治姿勢に投影させていた。
 本土復帰から45年。安倍政権はどれだけその思いを継承し、酌んでいるのだろうか。「甘えるな」という突き放した姿勢だけが伝わってくる。
 国は翁長知事への損害賠償請求も視野に入れているというが、屈しないだろう。本土への恨みが募るだけではないか。いま一度立ち止まって、沖縄の叫びに耳を傾ける必要がある。「泥沼化」は何としても避けなければならない。