国際社会に対する北朝鮮の危険極まりない挑発行為が、やまない。許し難いことだ。
 今月4日に続き28日深夜、再び大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。ミサイルは、北海道・奥尻島北西沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。
 今年に入り、弾道ミサイルの発射は11回目。今回はこれまでとは違って深夜に、しかも過去に例のない地点からの発射であり、奇襲能力を示す狙いがあったとされる。悪質と言うほかない。
 落下地点はEEZ内で、北海道や東北の漁船が被害に巻き込まれる恐れもあった。過去の国連安全保障理事会決議に対する明白な違反であり、断じて許すことはできない。
 注視すべきは、今回のICBMの能力が前回のそれを上回り、シカゴを含む米国本土中西部に届く射程1万キロに及ぶ可能性があることだ。
 北朝鮮を巡っては、韓国の文在寅政権が「対話」を提案し対応が注目された。だが、一切応じることなく、繰り出してきたのが今回の暴挙だ。
 隣国との対話は袖にしても米国に対し、核・ミサイル技術の一層の進展という脅威を示すことで、譲歩を迫った可能性がある。北朝鮮に対する圧力強化路線からの転換と、体制の維持につなげる無条件対話を引き出すことだ。
 北朝鮮はかねて朝鮮戦争休戦協定を平和協定に転換すべきだと主張しており、今回の発射が休戦協定調印記念日(27日)の直後だったことも、その狙いを裏打ちしよう。
 これに対し、米国は圧力路線を堅持、日韓と連携し「かなり重い制裁」を盛り込んだ新たな安保理決議を目指す方針だ。だが、4日のICBM発射を受けて始まった安保理の協議は難航している。
 制裁強化を求める日米韓と、対話を重視する中国、ロシアとの間で溝があるからだ。
 「対話」は確かに重要だ。しかし、北朝鮮を利する「対話のための対話」であってはならない。核・ミサイル計画の「凍結」ではなく「放棄」につながる対話でなければならない。そうしなければ「脅威」はなくならない。
 対話を言うなら、そうしたテーブルが要る。用意できないのであれば、北朝鮮をいずれその席に着かせるため、中ロは安保理メンバーとして安保理決議に従い「包囲網」の強化に責任を果たすべきだ。
 いま、その結束力と知恵が試されていることを国際社会は深く認識する必要がある。
 もっとも、安倍政権の危機管理には懸念が残ったといえる。この日、稲田朋美氏が防衛相を辞め、内閣改造までの数日間とはいえ防衛相兼務となったのは岸田文雄外相だ。
 もし「有事」となれば、防衛も外交も対応に追われ、時に利害は対立しかねない。防衛相は万が一の事態に備え対応するポストであり、専任とすべきだ。危機管理には常に万全を期さねばならない。