学校法人「森友学園」(大阪市)を舞台にした疑惑が新たな段階を迎えた。
 大阪地検特捜部はきのう、補助金をだまし取ったとして詐欺の疑いで、前理事長の籠池泰典(64)、妻の諄子(60)両容疑者を逮捕した。
 ついに政官や自治体を巻き込み、世間を騒がせた人物の逮捕に至ったが、全容解明の緒に就いたばかりと言わざるを得ない。地検は国有地の払い下げ疑惑など「核心」とされる部分の捜査も併せて進展させていくべきだ。
 法人が大阪府豊中市の国有地で計画していた小学校の校舎建築を巡っては、国の補助金約5600万円を不正受給したとする補助金適正化法違反容疑の告発状が、地検に提出されていた。系列の幼稚園運営でも詐欺容疑の告訴状が出されている。
 ただ、こうした容疑は法人の経営を巡る疑惑の「枝葉」の部分ではないか。
 学園は、小学校開設に当たって国と大阪府から破格の厚遇を受けていた。その第一は豊中市の国有地が2016年6月、当初の鑑定価格より8億円余り値引きされ、学園に売却されたことだ。
 開校予定の小学校の名誉園長に一時就いていた、安倍晋三首相の妻昭恵氏の関与の有無が、当初から取り沙汰されていたことが問題視された。
 15年には昭恵氏付け職員が間に入り、学園の要望を財務省とやりとりしていたことが判明している。「その後の土地取引が順調に進んだ」と、籠池容疑者は3月の国会での証人喚問で述べた。
 さらに大阪府の私学審議会は、学園の小学校設置認可で14年12月にいったん「認可保留」とした継続審議の決定を、1カ月後に「条件付き認可適当」と変更し答申した。
 先月、府議会に参考人として出席した籠池容疑者は「(答申で)財務局が動きだし、建設業者の選定、銀行の契約など具体的な動きが始まった」と、学校新設のポイントだったことを明かした。
 証人喚問でも複数の政治家の実名を挙げ、働き掛けていたことを証言した。「首相夫人」の存在が、役所の対応に影響を及ぼしたかどうかが大きな焦点と言えよう。
 地検は、財務省近畿財務局が不当に安く売却し、国に損害を与えたとする背任容疑の告発状を受理している。既に財務局の関連書類は破棄処分されているというから、捜査の出遅れは致命的だ。
 それでも、土地価格の根拠の正当性や売買に至る過程が適切だったかどうか、明らかにしなければ、国民は納得しないだろう。
 「本筋は国有地問題」と述べていた籠池容疑者は逮捕前に容疑を否定、「説明できることは説明する」と話していた。事実関係について洗いざらい供述すべきだ。
 籠池容疑者らを「人身御供」にして、事件を終わらせてはならない。

2017.8.1