一向に減らない若者の自殺に、どう歯止めをかけていくのか。政府は、その鍵を握る自殺総合対策大綱を5年ぶりに更新し閣議決定した。
 2012年8月に策定された旧大綱は、16年までに自殺死亡率を05年比で20%以上減らす目標を掲げ、既に達成した。新大綱はさらに今後10年で30%減を打ち出す。
 厚生労働省が発表した17年版自殺対策白書によると、16年の自殺者数は2万1897人。年間3万人を超えていた自殺者数は10年から7年連続で減少し、22年ぶりに2万2000人を下回った。
 ただ、人口10万当たりの自殺率は、11~13年のデータで比較すると、約90の国と地域のワースト6。先進7カ国で15~34歳の死因1位が自殺というのは日本だけだという。
 15年の人口動態統計でも若年層の死因は自殺がトップで、10~20代の自殺による死者は2815人に上る。白書が指摘しているように、若年層の自殺が深刻な状態にあることに変わりはない。
 自殺者の減少は、各種の対策が奏功している面もあるだろう。しかし、旧大綱に盛り込まれていた、いじめ自殺への対策強化や東日本大震災の被災者へのケア充実は十分効果があったとは言い難い。
 さまざまな対策を講じても、若年層の自殺が減らないのはなぜなのか。「生きていてもしょうがない」「死んでも誰も悲しんでくれない」。相次ぐ中学生の自殺で、「遺書」や生前周囲に語ったという言葉に垣間見える自己肯定感の低さが気になる。
 思春期には誰もが、親や大人に対する拒否感や将来への不安を抱え、生きていくつらさに直面して悩む。そこにいじめが加わったとしても、抜け出す方策は必ずあり、死ぬのは間違った選択だと伝えなければならない。
 思い詰めた子どもには、即時につながるセーフティーネットが必要だ。
 新たな大綱は、「SOSの出し方教育」や情報通信技術(ICT)を活用した若者への働きかけ強化を目指す、とする。教職員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学校医、家庭や地域にはそれぞれ連携した取り組みを求める。
 ただ、そうした周囲の大人や友人に直接話すより、インターネットやスマートフォン経由で本音を吐露する世代なのだとしたら、彼らがアクセスしやすい相談窓口でなければ意味がない。
 フェイスブックは、自殺の兆候がある投稿の報告を受け、「あなたを心配している人がいる」とメッセージを送る仕組みを提供する。
 今や子どもたちにとって最も身近なツールであろうスマホやパソコン。そこから、スムーズに自殺防止サイトなどに誘導し、「あなたの存在そのものが大切なのだ」と、心に届ける方法を模索しなければならない。