台風5号は列島を縦断し、広い範囲に大雨を降らせた。きのうは東北に接近し、荒れ模様となった。引き続き警戒を緩めることなく、災害の発生に備えねばならない。
 太平洋上を迷走した後、列島に近づいてからもずっと動きが遅かったのが今度の台風の特徴だ。同じ地域に長時間雨雲がかかるため影響が長引き、被害が出やすい。最も危険な「雨台風」と言える。
 ただ、今夏全国で相次いでいる豪雨の要因は、台風とは異なる。活発化した前線の影響で、積乱雲が続々と発生するパターンが多い。局地的に1時間に50ミリを超す猛烈な雨が降り続けることになる。
 進路予想が可能な台風とは違い、いつどこでこうした集中豪雨が起きるかを予測するのは難しいとされる。
 7月上旬、九州北部が最初だった。福岡県朝倉市で24時間雨量が500ミリ超を記録。山林の保水能力を上回る雨が一気に降ったため、至る所で土砂災害が起きた。氾濫した川の濁流や流木に巻き込まれるなどして福岡、大分両県での犠牲者は36人となった。
 秋田県内で7月下旬に降った記録的な大雨も例外ではなかった。前線に向かって湿った空気が入り込み、街も農地も一面水浸しになった。
 同22~23日の雨量は秋田市雄和で約350ミリ。平年の7月1カ月分の2倍に当たる雨が2日足らずで降った。大仙市の雄物川など各地の河川も氾濫し、住宅の床上・床下浸水は計2100棟を超した。
 これほどの大雨だと、九州北部のような重大な災害が引き起こされても不思議ではないが、人的被害がなかったのは幸いだった。
 降雨が平地に集中し、土砂崩れ箇所が少なかったことなどに加え、大仙市内では自主防災組織による避難呼び掛けが生きたとされる。
 避難のタイミングは難しい。大雨になってから逃げるのは危険だし、夜間はなおさらだ。住む地域でどんな災害が起きやすいかを確認しておき、自らの判断で早めの行動につなげることが基本。
 地域での日頃からの声掛けが、いざという時「共助」のセーフティーネットになることも改めて肝に銘じたい。
 国や自治体の対策も常に見直しが迫られよう。政府は2016年末、従来の「避難準備情報」を「避難準備・高齢者等避難開始」と改めた。
 同年8月、岩手県岩泉町のグループホームを襲った河川氾濫の際、避難準備情報の趣旨が管理者側に伝わっておらず入所者9人が亡くなった。その悲劇が教訓となった。
 政府はきのう、九州北部の豪雨、秋田豪雨を含む6~7月の災害を激甚災害に一括指定した。地域の復興へ素早い支援も一層求められる。
 台風や豪雨のシーズンはまだ続く。雨の降り方自体が変わってきたと考えを切り替えるべきだ。身を守るために日々の心構えが不可欠だ。