南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報を巡る隠蔽(いんぺい)問題の真相解明とは、程遠い内容だったのではないか。
 きのう行われた衆院安全保障、参院外交防衛両委員会の閉会中審査である。
 小野寺五典防衛相の答弁は、防衛省幹部だけの関与を認定した「特別防衛監察」結果の枠を出なかった。野党から要求された再調査や資料公開にも応じない姿勢を示した。
 出席した防衛省関係者は「おうむ返し」のように答弁するだけで、中身に踏み込んだ説明を避けた。
 結局、最大の焦点だった稲田朋美元防衛相が日報データ保管の報告を受け、非公表方針を了承したのかどうか、不明瞭のまま。これで幕引きされれば「疑惑封じ」と受け止められても仕方があるまい。
 引責辞任した稲田氏と黒江哲郎前防衛事務次官、岡部俊哉前陸上幕僚長がいない場で、論議してもらちが明かないことがはっきりした。与党は3人の参考人招致に応じて説明責任を果たすべきだ。
 監察結果によれば、問題は昨年7月に情報開示を求められた日報について、部隊の情報保全や開示請求の増加を懸念して不開示にしたのが発端。その後、陸上幕僚監部や陸自で電子データが見つかったが、「適切な管理」という指導の名の下に削除された。
 政府関係者の話では、データ保管の報告を受けた稲田氏が緊急会議で非公表を了承したとされる。一連の経緯について報告を受けていないとした国会答弁について虚偽だった疑いも持たれている。
 稲田氏は「報告を受けたという認識はない」と主張しているが、監察結果は「(幹部が)何らかの発言をした可能性は否定できない」として、稲田氏が事実を把握していた可能性も排除していない。
 小野寺防衛相は監察結果と稲田氏との電話での事実確認を基にして、「報告がなかったという方は終始一貫しているが、報告したかもしれない方は意見が曖昧で二転三転した」と指摘。稲田氏の疑惑に疑問を呈した。
 しかし、監察の詳細な部分についてただされると、小野寺防衛相を含め防衛省関係者は一様に口をつぐんだ。聴取に応じていることを理由に「発言を差し控えたい」と語ったり、今後の監察業務への支障が出る恐れがあるといった理屈を並べ立てたりして、「逃げ」の答弁に終始した。
 根拠を示さずに、監察結果だけを信じろと言われても、一体誰が信じるのか。そもそも疑惑の渦中にあった稲田氏が命じた内部監察そのものの信ぴょう性に、疑問の目が向けられているからこそ、閉会中審査が開かれているのだ。
 小野寺防衛相は再発防止を強調したが、そのためには隠蔽体質にメスを入れなければ、対策も講じられまい。事実の徹底究明が最初に取り組むべき最重要課題である。